今更だけど『ブレイキング・バッド』が面白すぎた件

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今更かもしれませんが、『ブレイキング・バッド』が面白すぎて、2〜3週間くらいで一気見してしまいました。

今から10年前の2008年から2013年までシーズン5(シーズン5はPartが2つ別れてます)まで放送された米国で社会現象になるまで大ヒットしたドラマ。計62エピソードあります。ファイナルシーズンではエミー賞の「作品賞」「主演男優賞」「助演男優賞」「助演女優賞」の全てで最優秀賞を受賞しました。

「Break Bad」とはアメリカ南部のスラングで「道を踏み外す」という意味で使用されています。

ずっとクソ真面目に生きてきた冴えない高校の化学教師が50歳になり、癌により余命わずかだということを知ったことがきっかけで、道を踏み外し、冷酷な麻薬王に変貌していく、そんな話。

冴えないおっさんが”麻薬王”に変貌していく話という点だけ聞くと、なんか設定が派手ではないですし、興味そそられる方もあまりいないかもしれません。

実は自分もそうでした。白のブリーフをはいたオッサンが、荒野で銃を持って立っているあのジャケ写を見ても、そそらないですよ。でも、以下のジャケ写をご覧ください。ハゲでこんなマフィアのボスみたいに変貌しています。なぜ普通のおっさんが、こんなにも変貌したのか?その過程が知りたくないですか?自分はそれが知りたい一心で観てました。

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『ブレイキング・バッド』というドラマは、その冴えないおっさんウォルターが、50の誕生日に癌と宣告され、そこから必死に生きた”2年間”を描いたドラマなのです!!とにかく、観終わった後のロス感が半端ないです。本当に素晴らしいドラマなので、ぜひ今からでも観て欲しい!ということで以下魅力をざっとまとめました。

1.余命もの(生きるために自尊心を取り戻す話)

『24 -TWENTY FOUR-』のように毎回衝撃的なラストで終わるわけではありません。むしろ、毎回ラストは暗く、なんとも言えない気持ちで終わります。でも、家族のためならどんな人でも殺すことを躊躇わないジャック・バウアーのように、『ブレイキング・バッド』の主人公のおっさんウォルターは、自分の死後、家族が路頭に迷わないための”お金”を手にいれるために、少しずつ悪事を働くようになります。

ジャック・バウアーはもうなんでもありすぎて、シーズンを重ねるごとに、不死身すぎてコメディ化してそれがそれで面白かったのですが、ここで描かれる主人公ウォルターをリアルに描くことで、自分だったら?と共感させる力を持っているのです。黒澤明『生きる』と同じく、死をきっかけに自分自身の生き方を振り返り、自問自答し行動していくウォルター。彼がなぜ道を踏み外れざるを得なかったのか?ウォルターの視点であることで、観るものに、悪に道を外すか、外さないかの境界線を考えさせる設定になっているのです。

2.化学の力でギャングをやっつける痛快な展開

そして、『ウォーキング・デッド』のように、やや始めの方は、グロさもあります。化学の才能に長けているウォルターはそれを活かして、麻薬を生成していきます。爆弾を作ったり、証拠を隠滅するために、死体にあることをしたり、、、、。でも、『ダークナイト』のジョーカーを思わせるような、ヒール的なかっこよさもあったり。

弱いおっさんが、自分より明らかに強いやつを倒す、思わずすかっとさせる展開が最高に気持ち良い。そのカタルシー半端ないです。次第に、彼は「ハイゼンベルク」と裏社会の自分を称し、麻薬王へと名をはせます。それを誇示していく様がぞっとするほど怖いのですが。

3.嘘を重ねて起こる危険性。それは本当に家族のため?(善悪について深く考えさせる)

そんな風に、少しずつ悪の道へと進んで行く主人公が、家族には黙って、嘘を重ねていく。奥さんは癌と戦っている夫を励ましますが、陰では麻薬を作っているとは知る由もありません。当然子供にも黙っているのですが、いつかは、ばれてしまうわけで、そのとき、どう接するようになるか?単純に家族が離れるわけではない”恐怖”が描かれます。

ウォルターはどんどん、倫理観がなくなり本当に静かに暴走していきます。表向き、非常に良いお父さんを演じているのですが、その嘘のつき方というか、頭が良いことがわかり、つかれた方は何を信じて良いかわからなくなると思います。家族を守るという理由で、ウォルターは悪の道に進み、お金を稼いでいましたが、それは本当に家族のためだったのか?その答えはラストに。

4.悪と正義とは?(サスペンスにハラハラドキドキ)

また義理の弟(ハンク)が麻薬取締局(DEA)に勤めているということも話を楽しくさせるポイント。ハンクは、自分が捕まえようと追いかけている犯人が、まさか身内にいるとは思いませんから。ウォルターとハンクとの対立もドラマを深めています。

ウォルターの秘密がいつバレてしまうのか?そんなハラハラドキドキのサスペンス要素があるのです。そして、ブラックコメディらしく思わず笑ってしまう場面もある点もあるから、面白い。特に「ハエ回」はかなりシュールで笑いました。

5.バディムービーを見ているかのよう

ウォルターの相棒として、ジェシーという若いジャンキーがいます。ウォルターが裏社会に精通し、どんどん変わっていくのに対して、ジェシーは初めから終わりまで精神的には変わっていないんですよね。人を殺めることに対しても、普通の人間的にやってはいけないことだと感じて、トラウマになり、精神が崩壊される。

何度も何度も悩んで、自暴自棄になり、薬に逃げていきます。そんなジェシーを、ウォルターは信頼できる仲間として見て行きますが、自分の子供のように心配して気にかけます。ジェシーが良い人間だとは思わないですが、そんな弱さも含め、人間的だなと思いました。イナイ・イナイ・バァの回やその後の恋人の子供の件など子供に優しいところや、ウォルターの誕生日に時計を買ってくれること、たまに見せる優しさが、とってもキュートです。どうしようもない人間だけれど、なんだかほっとけない存在の彼がいるから、観ている側はウォルターとのバランスが取れ、安心してしまうのだと思います。

6.キャラクターが素晴らしい

ウォルター役は『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』でダルトン・トランボを演じたブライアン・クランストン。彼の演技はアカデミー賞俳優アンソニー・ホプキンスも認めるほど。そして、相棒ジェシーとのやりとりが良いんです。YA!とYO!の掛け合いで二人はわかりあえます。

ウォルターの奥さんスカイラー。スカイラーの妹マリー。その夫で、ウォルターの義弟にあたるDEAの麻薬捜査官ハンク。ウォルター&ジェシーの弁護士ソウル・グッドマン(『ベター・コール・ソウル』というスピンオフシリーズが2015年からシーズン3まで放送中)。

そして、悪役が素晴らしい。悪役が最高なものは良いものになるに決まってます!ここでは、ガスが最高の悪役でした。マイク、トッド、ゲイル、ベルを鳴らすじいさん、トゥコの叔父ヘクターも、どの悪役もそれぞれ魅力があります。

7.音楽が素敵!演出も最高!

伏線もさすが。あるとき、「ん?」って疑問に思ったことが、後々それがちゃんと解決される。映像も一つ一つ凝っています。音楽も同じく。
「ベイビー・ブルー(Baby Blue)」泣かせます。

Season1

シーズン1の第6話まで頑張って観てほしい。ここで普通のドラマではないと確信します!化学知識を使ってギャングをやっつけるみたいな痛快な展開が良い。

Season2

ウォルターの倫理観が完全に狂った瞬間。麻薬の販売を、路上でさばくのではなく、大量に売りさばくために、トゥコというかなりヤバめな奴と大取引します。ドラッグという商品をどう作成して、販売していくのか、儲けの仕組みなどビジネスのあれこれも学べるシリーズ。お調子者弁護士ソウルも登場!ソウルに電話しよう!

また癌の治療費を家族にどう説明するか?ウォルターのプライドが表面に出る話があります。そのプライドこそが、彼を狂気にさせる、原動力だったという過去がわかります。

そして、衝撃な事故。負の連鎖がここから始まります。

Season3

ピザ。

ガスとの協働。ある意味買収ですね。今まで自由にビジネス?をやっていたウォルターからしたら、雇われになるのですが、最高の設備が整った環境で仕事ができることに満足気。しかし、ガスに支配されていることにだんだんと窮屈になっていく。

「ハンクの苦しみ」の回はひとつの転換点ですね。

そして何と言っても、「ハエ回」の10話。爆笑でした。ウォルターが初めて過去を振り返り、後悔するという大事なシーンですが、かなりコメディぽく描かれ、密室で同じ場所で撮影される。

Season4

スカイラーが秘密を知り、ビジネスに加担していく。彼女もまた道を外れていく展開。そして、ガスとの決着。
ネクタイを締め直すガス、かっこいいです。

チン、チンとベルを鳴らすじいさん。ナイスです。初めて出てきたときから好きでした。

ここで、ウォルターが一線を越えるどころか、もう帰ることができなくなるところまで来て、完全にやばくなります。スズラン。ぞっとします。

Season5(前半/後半)

崩壊ですね。静かに崩壊していく前半。スピード感あふれる後半は一気に観てしまうこと間違いありません。『ゴッドファーザー』のオマージュ、西部劇のような強奪も。そして、すっきり爽快のウォルターの攻撃シーンも。

ウォルターとハンクとの決着。ウォルターとスカイラーとの別れ。そして、ジェシーとの対立はどう着地するか?

最終話「フェリーナ」感動!!!!柱の陰からウォルターが現れる演出。そして、ウォルターがブルーメス精製の機材を撫でるシーン。

化学への愛と情熱を持ち続けた孤独な男の最後とは?
生きることへの充実感を取り戻した、彼なりの生き方がほんの少し肯定されるかのような、いや決して許されるようなことをしていないのですが、切なくも哀愁漂う最高のエンディング。これぞ男の生き様。

犯罪に手を染めたのは「家族のため」と言い続けたウォルター。彼が彼自身を認めたスカイラーとの別れのシーンは、歴史に残る名シーンですね。

とてもつもない才能が犯罪であること。ハンクがハイゼンベルクについて、その才能を使って、もっと世の中にとっていいことをすればよかったのにと言いますが、そうすることができなかった過去への後悔があったんですよね。

ぽっけ
『ブレイキング・バッド』は、人間ドラマとサスペンス、クライム、バディ、アクション全てが詰め合わさった最高傑作ドラマ!YO!YO!気になったら、絶対観てね!

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参考:「本当の自分」と死ぬまでダンス – 『ブレイキング・バッド』感想