#235 ちはやふる 上の句/取りに行け!

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ちはやふる 上の句 /満足度★★★★☆(4.5)chihayafuru/ジャンル:青春/111分/監督:小泉徳宏/2016年/日本/配給:東宝

 

青春全部かけてみせようじゃないか!

▼[MV] Perfume 「FLASH」(short ver.)

ストーリー説明
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同級生の千早(広瀬すず)、太一(野村周平)、新(真剣佑)は、いつも仲良く競技かるたを楽しんでいた。小学校卒業を機に彼らはバラバラになってしまうものの、千早は単独で競技かるたの腕を磨く。高校に進学した千早は再会を果たした太一と一緒に競技かるた部を立ち上げ、この世界に導いてくれた新を思いながら全国大会を目標とする。

引用:シネマトゥデイより

劇場鑑賞

新宿ピカデリーにて。平日火曜だったので空いてました。水曜土日は混みすぎなので狙ったのですが。

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○感想

この映画大好きです。
本当は満足度5点満点なのですが、下の句もあるので4.5にしました。

本当に素晴らしい!
何が素晴らしいのか以下まとめてみます。
(ちなみに原作は未読です)

静と動の絶妙なバランス!

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静と動のバランスというか、強弱がはっきりしていて、そのコントラストが素晴らしいのです。

まず冒頭です。広瀬すず演じる主人公の千早が高校入学と同時にかるた部を創設しようと最初にかるたを見せるシーン。
静寂の後に起こるあのスピード感ある演出。

この演出ですよ!!!気持ちがいいーーーーーー!

静があるから、動が際立ちます。かるた部という一見大人しそうな部活ですが、その迫力たるや。恐ろしくなるほどの勢いに完全に魅了されました。
この意識された演出は、映画の中で一貫されていて、百人一首の和の忍びやかさとコントラストに競技かるたという熱いシーンが対比され心動くことが多いのです。

心熱くさせる青春物語

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学園青春ものにつきものの、「夢」「仲間」「恋愛」を見事に描ききっています
こういうものって、いかにも映画的にやりすぎてしまうと興ざめしてしまうのですが、この映画はそこが違う。まずいちいち登場人物が感情を口にしないという(当たり前のこと)を守っています。
(どうでも良いですけど、「お慕い申し上げます」ってなんか良い響きですよね。昔の方は情緒ありますよね)

今回のメインは、野村周平演じる真島太一と机くんに間違いありません。どちらもそれぞれ違った劣等感を持っていて心にわだかまりを持ち続けます。
それが解放されていく瞬間。その瞬間。当然ラストにあるのですが、ここまで胸アツさせる展開はないじゃないですか!

それはそこまで、ちゃんと二人の人物描写をしているからこそなんですよね。正直、今回は主人公千早は天真爛漫で前向きに頑張る女の子というそのままのイメージしかありません。(恐らく下の句で掘り下げられるのではないかと)しかし、太一と机くんはシーンのひとつひとつに表には出さないふとした気になる行動があります。

ちょっとしたそぶりで、何となく察するのですが、そこの二人の役者さんの演技も素晴らしいんです。デリケートな心を描くのに、過剰な演出はいらないんです。。。そこができているので、すーっと感情移入できました。

太一は好きな子への想いだったり、嫉妬心、自信のなさなどがひしひしと伝わってきます。
机くんは誰にも必要とされないでひとりで生きてきた辛さだったり、悔しさが伝わってきます。

それがあるから、応援したいと思うのです。

二人がどうひとつの壁に乗り越えたのか。それが非常に好きでして、もう私この二つの場面で泣き崩れましたよ。
特に、太一。彼がどう乗り越えるのかということが非常に気になっていたのですが、この展開に思わずよっしゃ!と思いましたね。

「運命」というのものに対する私たちができるある一つの答えが提示されるのですが、私はこれがすごい好き。

成功している人程、その理由を自分の努力や才能ではなく、周りの人の感謝であったり、”運”が良かったからと言いますよね。”運”がどれだけ結果に左右されるかということは私も理解できますし、タイミングって大事だなと思うときはあります。しかし、それで結果を掴み取る人って、それまで準備に怠ることなく、やってきた人なんですよね。どうせ、おれには運がないとか言っている人や、「神様お願い!」って都合の時にしか頼めない人には結果は出ない。

運も実力の内ですが、待ってるだけでなく「取りに行く」というがむしゃらな気持ちが人を動かすのだと思います。かっこつけないで、人の目を気にしないで取りたいものを取りに行く姿勢です。それがわかるシーンで私は涙したのです。

主役だけじゃない登場人物の魅力の高さ!

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個人競技と思いきや、団体戦というものが競技かるたにあるのですが、これがまたチームワークが求められるんですよね。

私は、高校のとき水泳部でしたが、個人競技でもありますが、結構仲間意識が大事なスポーツでした。リレーなど団体で頑張ることはもちろん、応援がめちゃめちゃすごいんです。声が枯れるくらい応援します。水の中にいるから聞こえないでしょと思うかもしれませんが、水の中にいるからこそ、静な所にいる分、不思議なことに外の声がよく聞こえます。それに声が聞こえなくても、必死に応援してくれる顔を見て励まされます。

そして、もう一つ団体でやるとき大事なことは、”流れ”です。

これまた、私は小学校、中学校とバスケをやっていて感じたことでもあります。「スラムダンク」を読んだことがある人は分かってくれると思いますが、山王戦で湘北が20点差つけられるまで追いやられていたときがありましたよね。絶対追いつけないという空気感「流れ」があるんです。だから、その流れを断ち切るために20点取ろうと考えるのではなくて、1点を取ること、または1歩を大事にすること。桜木がリバウンドを意識したように。

『ちはやふる』でも同じような場面がありました。ひとりが調子悪いとそれがみんなに伝わる。逆にひとりがよくなればみんながよくなる。チームでやることの醍醐味ってこういう所にあるなと思いました。

まず、仲間作りから始まって、仲が急速によくなる瞬間。机くんが仲間のためにアドバイスするシーンいいですよね。

奏を演じる上白石萌音さんも良いですよね。『舞妓はレディ』で主演でした。
肉マンくん演じる矢本悠馬さんも驚くほど良いんですよ!ちょいちょい出てくるギャグ的なもの反応が、絶妙で笑ってしまいました。

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以上のように、3つの魅力について書きましたが、この映画の魅力は”バランス”だと思います。
脚本、カメラワーク、役者、音楽全てにおいて調和されていて違和感が全くなく映画に集中できました。強弱をつけることがここまで大事なことなのかと再認識しました。また、邦画の2部構成ってどうも、否定的な見方をしてしまうのですが、今回は2部にして成功した例だと思います。ちょうど良かったですし、また観たいと思わせてくれました。

エンディングも劇中で流れる綺麗な主題歌がちゃんと流れてからのパフュームのアップテンポで(機械音の)勢いある音楽で今っぽく。和とコントラストがあって良いんじゃないですかね。

下の句が楽しみです。青春の熱い心を取り戻したい方、音が素晴らしいので映画館で是非観て欲しい一本です。

【2016.4.8.再鑑賞につき追記】

もう一度観てきました。いろいろと観た人の感想とかも読んだのですが、何となくこの映画が好きではない人の気持ちもわかります。けれども、やっぱり自分は好き。また感動しました!

好きじゃない人の意見として、どういう観方があるのか、ちょっと以下にまとめてみます。生きてきた経験が違うのだから、人の感じ方はそれぞれであるべきだと思うので、良い悪いかを問うわけではありません!ただし、自分はこう観て好きだったよ、ということを書いておきます。映画の感想って、好き嫌いどっちでも良いと思んです。自分はどちらの意見も、その人がどう感じたのか気になります。それを感覚ではなくて、言語化したいなという変な嗜好があるので取り止めもなく書いている次第です。。。

過剰演出か?

邦画にありがちなバックにかかる音楽を多用すること。キャラクターが心情を細かく言葉として発してしまう違和感。つまならいステレオタイプなギャグ。
分かりやすく、誰が観ても分かるように演出する方法、観客の想像力を根こそぐような、あまり映画を観ない人向けの丁寧?な演出が気になる方は『ちはやふる』でもその点があるのは否めません。

しんみりとした場面でのピアノの静かな音楽が流れることへの指摘。2回見て確かにと気付かされましたが、1回目観たときはそんなに気になりませんでした。映画を客観的に観ている人ほど気になる演出になるのかもしれません。

私は、終始流れがちな音楽がピタっと鳴り止む”静寂”の時間が強調されるため、むしろこのやり方はありなのではないかって思いました。要はバランスですね。ここは「泣かせますよー」とか「ここは興奮した気持ちになってください」といったような製作側が観客側に押し付けるような安易なものではない気がしました。

スローモーションも然りです。印象的なシーンでのみ使用しているので、気にはなりません。(千早の登場シーンだったり、最後の試合の所だったり)
それも何度も言いますが、静と動の緩急の差をうまく使っているので、飽きることなく見ることができます。

キャラクターがそのことは言わなくても、言動で分かるからいちいち言わなくても良いよ!という所も実はあります。けれども、反対に言わないで見せるシーンもたくさんあります。現実では相手に何かを伝えるときや、感情が言動に出るとき、人それぞれの個性が出ると思います。その仕草の一つ一つにその人らしさが詰まっている。

リトル・ミス・サンシャイン』にて兄が挫折した時、妹が慰める時に行うこと。
幸せへのキセキ』にて、現実が上手くいかなくて主人公がものに当たるシーン。

どれも言葉なくても伝わってくるものです。『ちはやふる』でも、仲間を立ち直らせるために行うあることや、仲間一人ひとりがその人の肩を叩く描写。そっと肩に手を置く人の温かさが伝わってきてとても感動します。

野村周平さんのアドリブもそうですが、肉まんくん演じる矢本悠馬さんも素晴らしい。ちょっとした反応が良い。こういったコミカルな役どころって、やりすぎると冷めてしまうこともあるのですが、絶妙です。好きになってしまいますね。

そしてライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル「週刊映画時評ムービーウォッチメン」を聞いて気づいたのですが、登山のシーンの一部が机くんのシーンで使われるという演出。2回目観た時にこれは素晴らしい!と感じました。(1回目はその前の演出で涙して見逃してましたね)

競技かるたの面白さ、魅力が伝わらない

これは、『セッション』を観て音楽が嫌いになったという人の意見とも通じるかと思います。自分は『セッション』大好きですが、ジャズを愛する人から観たら不快に思うのかもしれません。観方が違うから仕方ありません。自分は部活動としてのスポーツは自分との”闘い”だと思っているので、”楽しかったり”するものの真逆にあると考えています。”青春”って青い春と書くように、ちょっと青臭い感じ。だから、この映画も”バトルムービー”的な要素があります。(『セッション』も”音楽映画”ではなく、”バトルムービー”だと思います。その意味で青春映画)

”辛い”思いをするのが”青春”。格好とか気にせず、なりふり構わず前に進もうと足掻いている姿を見て心打たれます。プロ野球を見て感動はしないけど、一回負けたらそこで引退の甲子園を見て涙するのと同じ感じです。

プロは、そこら辺がスマートです。トータルで勝つこと、戦略して、抜くところは抜いて、力を入れる所は入れる。それにショービジネスとして観客を喜ばしたり、スポンサーのことなど、あらゆることを考えて戦います。それと違って甲子園はそれこそ、がむしゃらに前しか見ない。不器用なイメージですが、その姿が心を動かします。駅伝も似てますね。

そこをどう捉えるかで、この映画の観方が変わるかなと思います。

そもそも太一は、かるたを好きでやっているわけではないと言っています。あることのためにやっています。今回の上の句で振り返る幼少の頃の場面も全て、太一が回想しています。だから太一が今回のメインになっています。その太一が、かるたを好きで、楽しくてやっているわけではないのですから、かるたの面白さ、魅力が伝わるものになっていません。

太一の想いである「うっかりはげ」「このたびは」「ちはやぶる」が主題

映画のはじめのほうに出てくるこれらが、最後につながります。個人的な太一の想い、”熱”が伝わった時私は感動して、涙が止まりませんでした。切ない!!!あの千早を見るまなざし。

だから、純粋にかるたというジャンル映画として期待してみると拍子抜けするかもしれません。百人一首の魅力は所々で紹介はされていますが。

ちなみに、机くんの和歌は「もろともに」ですね。太一か机くんのどっちかに感情移入して感動する人がいますね。自分はどちらもでしたが。

といったようにかるたの面白さを描かれていないかもしれませんが、百人一首の魅力は伝わってきます。

「このたびは 幣も取りあへず 手向(たむけ)山
 紅葉(もみぢ)の錦 神のまにまに」

参照:【百人一首講座】このたびは幣も取りあへず手向山 紅葉のにしき神のまにまに─菅家 京都せんべい おかき専門店【長岡京小倉山荘】

原作好きにも感想聞いてみたのですが、満足していました。千早はもう少しスマートで天才的らしいですが、広瀬すずの存在感、目力はすごいと褒めてました。

監督の言によれば、「上の句」のテーマは「高校生らしいコミカルさもあるスポ根もの」。後編となる「下の句」では、「なぜかるたをやっているか?」を焦点により深いドラマを描く。

引用:映画『ちはやふる -上の句-』 太一、新だけじゃない! 机くん、肉まんくん……個性派男子に胸きゅん祭り!?【あのアニ】  |  このマンガがすごい!WEB

「上の句」は青春(スポ根)映画として、太一と机くん目線の映画でした。「下の句」はより踏み込んで”かるた”の魅力について千早目線でドラマを見せてくれそうです。楽しみ!!

ちなみに、この文章を書いている時は以下のサントラ、「つながれ つながれ! つながれ!!」を聞きながら書いています。Perfume「FLASH」も買ったのですが、なかなか聞きながら映画を思い出して書きづらい。つまり映画の”主題歌”ではないんですよね。ラストに2分間くらい短縮で流れるのはすんばらしいのですが!それも緩急のバランスの問題です。多すぎてもダメなんです。

読んで頂いて、ありがとうございます。

●参照

(C) 2016 映画「ちはやふる」製作委員会 (C) 末次由紀/講談社

○予告

公式サイト

○参考に読んだおすすめ感想ブログ/サイト
『ちはやふる-上の句-』を見た。 – リンゴ爆弾でさようなら
[映画の感想]『ちはやふる 上の句』広瀬すずが可愛いのは知ってるよね | 映画日和。
映画『ちはやふる 上の句』感想/評価:85点/真島太一(野村周平さん)の青春真っただ中の苦悩 – 映画・舞台・DVDのネタバレ感想!
映画『ちはやふる 上の句』感想  – 物語る亀
映画感想文【ちはやふる】主役が広瀬すずじゃないところが面白い!あらすじネタバレなし。 | 【映画と読書とOLと】もはやOLは趣味です。

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