#234 スティーブ・ジョブズ(ダニー・ボイル監督作)/娘へのギフト

NewImage.png
NewImage

スティーブ・ジョブズ /満足度★★★★(4)STEVE JOBS/ジャンル:人間ドラマ(舞台劇、会話、父と娘)/122分/監督:ダニー・ボイル/製作:2015年,日本公開:2016年/アメリカ/配給:東宝東和/製作費:3000万ドル

 

気持ちが高ぶる瞬間(舞台裏)から生まれる本音

▼The Maccabees – Grew Up at Midnight

ストーリー説明
NewImage

1984年、アップル社の新製品発表会本番を40分後に控え、スティーブ・ジョブズ(マイケル・ファスベンダー)は部下のアンディ(マイケル・スタールバーグ)ともめている。今回ジョブズはどうしてもMacintoshに「ハロー」とあいさつさせたかったが、当の主役は沈黙したままだ。マーケティング担当者のジョアンナ(ケイト・ウィンスレット)は諦めるよう説得するが……。

引用:シネマトゥデイより

劇場鑑賞

品川プリンスシネマ。初めて行きました。入り口がどこかはじめ分からなかったけれども、大きなスクリーンで満足。

IMG 1066
○感想
NewImage

Apple創始者スティーブ・ジョブスを描いた『スラムドッグ$ミリオネア』のダニー・ボイル監督映画です。2013年ジョシュア・マイケル・スターン監督が『Jobs(邦題:スティーブ・ジョブズ)』を映画化しています。(参照:#157 スティーブ・ジョブズ/最低な男が最高の未来を創る

ジョシュア・マイケル・スターン版の『スティーブ・ジョブズ』は賛否両論ありました。ジョブズが嫌な奴なんですよね。それに物語は大学時代である1971年から、Apple Computerを創業し、解任され復帰を遂げiMacを発表するまでで、iPodやiPhoneなどの製作過程、ピクサーなどの話はなく最近のAppleファンには物足りないように思えました。

私は、以下のような記事を書いているほど割とお気に入り映画でした。
仕事で行き詰まったらシンプルに考えよう。偉大な経営者を描いた2つの映画に学ぶ | FILMAGA(フィルマガ)

完璧主義で独裁的な経営をしていたジョブズの「まだ世界で、誰も観たことのない物を創りたい」という情熱が強く感じられたからです。

では、ダニー・ボイル監督作の『スティーブ・ジョブズ』はどうかというと、これまた彼を嫌いになってしまうほどの嫌な奴感を全面に出している映画です。Appleファンの皆様へ。ジョブズの偉業を讃えるような映画ではないということをまず念頭に置いてご鑑賞ください。ジョブズの内面を主に描こうとしているので、史実と異なる面もあります。単なる伝記映画ではありません。

けれど、私この映画も好きです!なぜならば、ジョシュア・マイケル・スターン版では少ししか描かれなかったスティーブ・ジョブズと家族(特に娘リサ)との関わりを見ることによって、「まだ世界で、誰も観たことのない物を創りたい」という情熱が、どこから生まれてきたのかが分かったからです。

この描写があることによって、彼が天才だけれど最低な男というだけでなくて、私たちと同じように目の前の人を喜ばせたいという”愛”が感じられました。スティーブ・ジョブズがどれだけすごいことをしたなんてことは、街中で皆さんが手に取って夢中なものをみれば分かります。天才で私たちには共感しづらい彼の内面を掘り出してくれた映画として素晴らしい手法を使っていると思います。

その方法とは、以下の記事にある通りです。

描くのは製品発表会40分前の舞台裏×3!
引用:ダニー・ボイル監督版『スティーブ・ジョブズ』感想、この映画にはあなたの見たいジョブズはいない – Cinema A La Carte

以下の3つの発表会の舞台裏40分を3つ描いているだけです。

1984年:Macintosh発表会40分前の舞台裏
1988年:NeXT Cube発表会40分前の舞台裏
1998年:1998年のiMac発表会40分前の舞台裏

しかも、どれもひどい罵り合いです!!フル会話劇(舞台劇)と言っても過言ではないです。あまりにも早口でついていけないひともいるかと思います。スティーブ・ジョブズについてただiPodとかiPhone作ったひとしかしらないひとは間違いなくついていけないと思います。デートで行ったら、なんか違うことで喧嘩になりそう、、、なのであまりおすすめはしません。。。

感動的なプレゼンシーンもありません。それはYouTubeで見ればいいのです。(それよりも、大事な発表会前にこんなバタバタなことして普通にあれだけのプレゼンができることが信じられない。。。実際には発表前に同じ6人と対立するなんてことはなかったようで、脚本の演出上事実と異なる点はありようです)

スティーブ・ジョブズの転機となった3度の舞台裏、とりわけ彼とその周りの人との感情的な関わりを見ることで”内面”を見ることができます。

そしてこの3つの映像の撮り方がまた凝っていて素晴らしい!プロジェクションマッピングも良いよね。これについては以下ご参照ください。

ダニー・ボイル版『スティーブ・ジョブズ(2015)』会話劇のみで“内面”を語る秀作(映画ネタバレなし感想+ネタバレレビュー) カゲヒナタのレビュー

また、観る前に登場人物の背景は分かっていた方がいいです。アップルのマーケティング担当ジョアンナ、ジョブズと一緒にアップル社を作り上げたエンジニアのウォズニアック。ペプシコーラの元社長でアップルのCEOとしてジョブズから招かれ後ジョブズを退任に追いやるジョン・スカリーやダニエル・コトキ、ガイ・カワサキなども。詳しくは記事最後に参考になるサイト・ブログを列挙していますのでご覧ください。

原作本には載っていないジョブズの父親としての顔

NewImage

元にした原作未読で申し訳ないのですが、ウォルター・アイザックソンの「スティーブ・ジョブズ」では記載されていないスティーブ・ジョブズの娘リサとのやりとりが3つの舞台裏では中心として描かれています。ここが私はこの映画の肝であると思っています。

ダニー・ボイル監督は、この映画化にあたり以下のようなことを伝えたかったみたいです。

原作になった伝記は、ジョブズが生まれた時から死ぬまでがカバーされているし、伝記映画もすでに存在するから、この映画ではジョブズの“マインド”を描きたいと思った
引用:誰もが知る男の“内面”を描く。映画『スティーブ・ジョブズ』監督が語る|ニュース@ぴあ映画生活(1ページ)

詳しくは、ネタバレになってしまうので書きませんが、あのラスト最高に好きです!あの製品を作るにあたった経緯がそこで分かり、今までの伏線がつながっていき、鳥肌が立ちました。もちろん、それが直接的な理由ではないのかもしれませんが、そういったひとつひとつの強烈な思い出、情景がきっとジョブズの頭の中にはちらちらよぎることで彼を動かしたに違いないと思います。

娘との関係が奥底にあり、ピクサーなどの始まりがあるのかなと勝手に想像してしまいました。

もちろん、娘との関係だけでなく、ウォズニアックやジョアンナ、ジョン・スカリーとのやり取りも良いです。技術者として誇りを持ち続けるウォズとあくまで指揮者としてモノを生み出さないジョブズとの最後の言い合い好きです。

ということで再三述べますが、こちらの映画は史実を重視した映画ではないということです!「写真というよりも、絵画に近い」と脚本家のアーロン・ソーキンが述べたように大分事実に脚色をしています。まず何よりスティーブ・ジョブズ役のマイケル・ファスベンダーはジョブズに似ていませんですし、あの定番の格好(黒のタートルネックにジーンズ)は1998年ではされていません。

スティーブジョブズの心情を彼自身に語らせるのではなく周りの人との会話を多くすることや、ある程度現実とは違った脚色をすることにより、スティーブ・ジョブズの内面をより”リアル”に見せる工夫をしているから素晴らしいと私は思いました。

たくさんの音楽を、小さなボディーに。

NewImage

電子音の曲、自身を指揮者として例え小澤征爾との小話も出てきた第2章でもクラシック音楽が基調になっています。そんな音楽もチェックしてみてください。

またスティーブ・ジョブズが好きだったミュージシャンのボブ・ディランの曲が挿入曲に。
「Shelter From The Storm」という曲がラストに流れます。これ『ヴィンセントが教えてくれたこと』でも最後に流れるんですよね。これがラストというところがセンス感じます。

スティーブジョブズの娘に対する眼差しが温かく本当に感動的な映画でした。

読んで頂いて、ありがとうございます。

●参照

(C) Universal Pictures (C) Francois Duhamel

○予告

▼Steve Jobs – Official Trailer #2 Music – (SOHN – Lessons)
https://youtu.be/mVodnaDuPbc

▼Steve Jobs presenting the first Mac in 1984

▼Steve Jobs NeXT presentation, 1990

▼Steve Jobs introduces the Original iMac – Apple Special Event (1998)

公式サイト

○参考に読んだおすすめ感想ブログ/サイト
ジャーナリスト林信行は、映画『スティーブ・ジョブズ』をどう観たか:スティーブ・ジョブズはいかにして語れるか? « WIRED.jp
誰もが知る男の“内面”を描く。映画『スティーブ・ジョブズ』監督が語る|ニュース@ぴあ映画生活(1ページ)
映画「スティーブ・ジョブズ」感想 評価 レビュー – モンキー的映画のススメ
映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評 : スティーブ・ジョブズ
ダニー・ボイル版『スティーブ・ジョブズ』、当初のタイトルは『ワン・モア・シング』? | シネマカフェ cinemacafe.net
まるで舞台劇!伝記映画の枠を超えた伝記映画『スティーブ・ジョブズ』ついに公開 | FILMAGA(フィルマガ)

○LINE@はじめました!ブログの更新情報等をいち早く知りたい方是非友達登録お願いします。
'stats.label.addfriend' (MISSING TRANSLATION)

●記事を読んだ感想を書いてくれると喜びます!右下”コミュニティ”と書かれているアイコンから書き込めます(PCで見たときのみ現れます)

●宜しければFeedlyの登録もお願い致します。(週2〜3回更新しています。)
follow us in feedly

▼スポンサーリンク