#112 「我が家のヒミツ」奥田英朗/辛いことは共有することで救われるから。

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満足度★★★★(5)

いつも明るい家族なんて作らなくても良いじゃないか!

●あらすじと感想。

家日和」「我が家の問題」に続いて奥田英朗の”家族シリーズ”三作目。ごめんなさい、「我が家の問題」読んでたつもりが読んでなかった!急いで読まなくては。

ということで、「我が家のヒミツ」の感想。感動しました!!!!!!
短編6話なので、通勤通学の行き帰り3日間で読める分量です。

家族って素晴らしい!ことを描いている小説ではありません!家族って、運命共同体であるからこそ、厄介なことであったり、複雑なことがたくさんあります。正直に何でも”ヒミツ”なく話し合えればそれが一番の”最適な”家族のカタチでもないのです。一緒にいれば、いろいろそりゃあ、あるよね。辛いよね。でもそれでも、一緒にいれて良いものだよなぁ。。。ってそんなときもある。少ないかもしれないけど、家族って悪くない!って、そんな風な日常を描いた小説なのです。

*「虫歯とピアニスト」子どもがなかなか授からず、義母からのプレッシャーがかかる中、夫と改めて話し合うことを躊躇う敦美。
*「正雄の秋」…同期との出世競争に敗れ、鬱屈な日々を送る53歳の正雄。
*「アンナの十二月」…16歳になり初めて会った実父が著名人であったことに浮かれるアンナ。
*「手紙に乗せて」…母が急逝し、憔悴した父を心配する亨。
*「妊婦と隣人」…産休中なのに、隣の謎めいた夫婦が気になって仕方がない葉子。
*「妻と選挙」…妻が今度は市議会議員選挙に立候補すると言い出して戸惑う康夫。

全体的にほっこりするラストが好きなのですが、それぞれ心に残るシーンや言葉があります。特に好きな「虫歯とピアニスト」「正雄の秋」「手紙に乗せて」「妻と選挙」について以下感じたことを書いていきます。

「虫歯とピアニスト」

ー人間なんて呼吸しているだけで奇跡

と語るピアニストの台詞に20代は大きなことをしなくてはならない、と思い込んでいたことをたいしたことではないと思えるように。

「正雄の秋」

羨ましいと思う人も、憎いと思う人も、みんなそれぞれバックグランドがある。みんなつながっている。それを知ることができればきっとそういった否定的な想いもする必要がなくなる。

「手紙に乗せて」

この中で一番好きなのが『手紙に乗せて』。朝の通勤中電車の中でこれを読んで号泣して思わず嗚咽が出るレベルでした。辛いこと、悔しいこと、それを共有できるのはやっぱり、それを経験したことがある人だけ。その辛さを分かり合えるから、そばに自分と同じ苦しみを持った人が近くにいれば損得なしに助けたくなる。それがなんともかけがえのない素晴らしいことか。

ー人生経験とは、きっと悲しみの経験のことだろう

悲しみを共有できるのは一緒にいる家族だけはないです。むしろ近くにいるからこそ、遠慮して本当のことは話せなかったりします。本当に素晴らしいのは、家族以外にも同じ悲しみを持つ人がいてくれるということ。それだけで人は癒されます。(これは映画『インサイド・ヘッド』でも通じるテーマかもしれません)

”思いやり”があるかどうかって、相手の立場になって考えられるか否かということだと思います。それにはやっぱり経験が必要。どれだけ辛いことがあっても立ち直ることができたこと。辛いことがあったとき、それは無駄なことじゃなくて、やっぱり誰かに同じような過ちを起こさないために必要なものだったり、また同じ悲しみを持ったひとがいたらそばにいてあげられるという、大切な”経験”だと思います。(テレビのバラエティ番組の「しくじり先生」が素晴らしいテレビなのもそれがあります)

「妻と選挙」

結局のところ選挙はギブアンドテイクだから

家族において、ギブアンドテイクはないと思います。必要なのは”ギブギブギブ”。

自分が日陰にいるときは、妻に太陽を浴びてもらいたい。ー夫婦はどちらかがよければ、ちゃんとしあわせでいられる

これって、家族全体でも言えると思います。家族の誰かが弱っているとみんなが弱ります。近くに住んでいると感情と風波が同じになるんですよね。うちの例でいえば、かつて家族全員失業したときもありますし、そうと思ったら同時期に就職したりもしました。

自分が弱っているときだからって、それを相手にも押しつける必要はありません。そういったときこそ、誰かを応援することが重要かもしれません。ひとを応援することの素晴らしさを思い出せました。

奥田英朗さんは『伊良部シリーズ』などのユーモア小説を書く一方、
最悪」「邪魔」などのミステリー小説も書かれます。

きっと、奥田さんは人間の明るい面と暗い面どちらも肯定しているからだと思います。どちらの小説も好きです。

笑ったりするだけが人生ではない、元気でいる、明るいだけが家族のカタチでもない。心配したり、悲しんだり、そういった後ろ向きのことだって”共有”することができることそれが家族なんじゃないかって、そう思います。

ほっこりしたい人に是非!読んでほしい本。

読んで頂いて、ありがとうございます。

参照

『我が家のヒミツ』 (奥田英朗 著) | 今週の必読 – 週刊文春WEB

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