#110 アイデアが生まれる、一歩手前のだいじな話 by 森本千絵/ご縁に導かれるもの

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満足度★★★★☆(4.5)

あたたかくて、やさしい気持ちになれるデザインをつくるひとの考え方。

▼後で読む。


●感想。

Mr.Childrenの「HOME」「SUPERMARKET FANTASY」などのCDアルバムジャケットや、ゆず、松任谷由実さんなどのCDジャケット、その他キリンの「8月のキリン」の商品パッケージ、東日本大震災時はサントリー契約タレントが歌う「歌のリレー」などの広告を手がけるコミュニケーションディレクター・アートディレクター、森本千絵さんの自叙伝です。

直近では、伊勢丹とコラボで母の日のイベントデザインもされてますね。

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Mr.Childrenファンとしては森本さんの手がけたデザインはよく知っていたのですが、自分が大学生のとき広告業界を目指していたときに森本さん自身のことを知りました。同じく博報堂出身のアートディレクターといえば佐藤可士和さんと並び、私が当時から尊敬している人です。(ちなみに佐藤可士和さんもMr.Childrenの「シフクノオト」のジャケットデザインしています)

本の帯にも書かれていることですが、この本では森本さんの具体的な仕事論(方法論)が主で書かれているわけではありません。それよりか、森本さんが生みだした広告(デザイン)がどういう経緯で生まれたかが書かれています。森本さんの生い立ちから、仕事を通じた”出会い(縁)”、独立までの経緯などをそのときの感情とともに書かれているので心にグッとくる話が多かったです。

人の心を動かすデザインを創り出すひとがどういう風な考え方で生活しているのか、興味があるひとは必読です。ポジティブで明るくて、そして優しくて、とっても共感できる内容が詰まっていました。

広告とは「誰かと誰かをつなぐコミュニケーション」

と森本さんは言います。誰かと誰かの「間」に入り、誰かの想いやその人の素敵なところを翻訳して誰かに伝えるということ。

思えば、自分が広告に興味を持った理由がそこにありました。形として存在しない”想い”を形にして見える形にして伝えるコミュニケーションとしての広告のあり方にとても興味を持っていました。

誰かの想いを形にして伝えていくということ
表現するときには、いつも色や音楽がともにある

森本さんが、大事にしていることは”色”や”音楽”。作られたものを見ればとても分かります。森本さんの作り出したデザインは色が印象的で見ていて楽しくなります。優しい音楽を聞いているようなそんな感覚にしてくれます。

色を大事にするようになった幼少の頃のエピソードがとても印象的でした。おむつがなかなか取れない幼少時、それをおじいさんが決して叱ることなく、7色の7枚のパンツを買ってきたということです。色とりどりのパンツがとても綺麗で可愛いので、そのパンツを履きたいから決してお漏らしをしないと約束することでお漏らしがなくなったとか。

とっても素敵な話だなと思いました。色とか音楽って、人の心を魅了する力があります。それを森本さんは意識してデザインされているから伝わるんだと思いました。

そして色や音楽だけでなく、森本さんは一貫して”ひととの出会い”を大切にしていることが分かります。ご家族との話以外にも仕事で出会ったひととの”ご縁”をとても大切にしています。

ご縁=人間ができることを超えた何かが動いて導かれるもの。奇跡の積み重ね。

Mr.Childrenの「HOME」のあの家系図が出来上がったエピソードを知りとても感動しました。

何かを決めるときは自分の意思だけでなく、そうせざるを得ない(抗えない)物事に出会う。
大きな決断のときは、とてつもない波が来ているときなので乗らざるを得ない。乗った以上、もう戻れない、前に進むしかない

いろいろな経験があって、その隣りに自分にとって大切なひとがいて、そして自分がいる。様々なこと、ひとに影響され出来上がったものが、その人らしさを表した、具現化したオリジナルなものになるかと思います。そういった流れは急に起こりますが、そこで勇気を持って前に進んでみることで一気に開かれる何かがあるのかもしれません。

どちらの道を選ぶとき、”希望”がある方を選ぶ。未完成のもの、夢を見ることができるものを選ぶということ。

”縁”って面白いなぁって思います。自分ができる以上のこと、考え得る以上のものが生まれます。自分の力でこうだと推し進めることも大事だと思いますが、自分の力だけでなく、ひとの持つパワーに引き寄せられて流されながら進んで行くことも大事なことだと思います。わくわくしながら、想いを隣の人に伝えたいと、人を喜ばせたいと思っているからこそ、森本さん自身の周りにそんな縁が集まってくるのかなと思いました。

ただ、流されるといっても、その根底にはしっかりと自分の”想い”があります。流されながらも「大丈夫」と思い、「生きよう」という想い、エネルギーが縁をポジティブなものに変える力なのではないかと思います。

森本さんが武蔵野美術大学に補欠で入学できたが、ちゃんと合格して入りたいと思っていた時に森本さんのお母さんがいった以下の言葉が印象的です。

人生は入り口が大切なのではなくて、入ったその場所であなたがどう生きていくかが決まる。だからこういう運や縁に流されて生きなさい

流される、運や縁を大事にすること。自分の想いと相手の想いが重なるとき、やさしい、あたたかいデザインができるのだと思いました。

心がけたいこと。実践してみたいこと

以下本の中で紹介されてたいた、日常の中でやってみたいこと、心がけたいことを羅列してみます。

○徹底的な一人会議

たくさんアイデアを出して、最後まで残ったものを選ぶ。最後に選択するのは、頭ではなく「心」であり「身体」本能的に向かいたい生き方。

○アイデアが生まれたらどんどん出す

日々見ているもの、聞いているものがある限り、アイデアは絶対に出てくる。Mr.Childrenの桜井さんが言ったこと「最後の尿漏れが一番素晴らしい」という言葉。出し切っているから、最後の、ずっとずっと深いところにあるものまで出せる。その他のものを出し切っていなければ、最後の一滴は出すことができない。だから自分のアイデアは人に話しまくる。外に出すこと。どんどん出すこと。徹底的な一人会議とつながることです。

○朝の掃除

朝早く起きて、出かけるまで掃除をしたり、お風呂に入る。森本さんは「裸掃」をして必死に掃除して、部屋中を吹いて、最後にお風呂に入って汚れをゼロにしているらしいです。朝一番に身の回りを全てゼロにしてスッキリするのはいいなと思いました。ゼロでいれば、その日たくさんのものを吸収できそうです。

○1日の終わりの「新聞日記」

寝る前にその日行ったところや、気になったものをコラージュして1日の中でその時感じたものを「点」とすること。

○自分なりの「気分の組み立て方、つなぎ方」

気分が向かないとき、うまくいかないことはあるかと思いますが、無理やり何かをするのではなく、一度自分なりに気持ちをリセットする方法を考えること。森本さんは会社員時代、フリーフォールのようなアトラクションに乗ったりしていたらしいですが、それが難しいにしろ、自分が気分ののる方法を考えたいなと思いました。好きなコーヒーを飲むとか、音楽を聞くとかそういうことでもできると思うので。

○プレゼンは「即興力」を大事にする

企画書や資料がなくとも、どんなことがあっても即興で伝えられること。楽しくなるようなアイデアを話すわけだからできること。
うまくしゃべる必要はない。伝えたいという気持ちを抱けばその想いが一番響く。

○力を入れるのは最初と最後、途中は楽しむ

立ち上げと仕上げは責任を持つけれど、間はちゃんと他力本願する。スタッフの力を信じること。

○音楽にすると感覚を忘れない

音楽は話すよりも早く伝わる。

○感動し続ける

泣いたり、怒ったり、笑ったり、何にでも気持ちが動くこと。それらが、いろんな角度で見て、いろんな自分になって、何かいいものや何かいいところを見つける前段階の訓練になる。

○たくさんではなく、たった一人に愛されれば何とかなる

誰か一人の心に届かないものは、結局誰の心にも届かない。多くの人に届くということは、一人ひとりに届くということ。

仕事術など、何か型にはめる方法論ではなく、ひととのつながり、ご縁の中からアイデアが生み出されられる考え方の話。明るい方に向かおうとしている気持ちに心動かされました。明るいものだけでなく、その逆の暗いところも知っているからこそ、あのあたたかい気持ちにさせるデザインができているのだと。私は、広告の仕事はしていませんが、誰かの想いを伝えるという意味ではブログやイベントを通して行っていることだと感じています。その想いの熱量が多ければ多いほど、きっとそれが形になり本当に伝えたいひとに届く表現ができるのだと、そんな風に思いました。

デザインに興味ある人も、Mr.Children好きの人も、そして人のつながりを大事にする人に読んでほしい本です。

読んで頂いて、ありがとうございます。

参照

▼【公式】おはなしの は~goen°plant planet orchestra~(全編版)

三越伊勢丹内で行われている母の日に合わせた「goen°plant planet by森本千絵」の世界観を表現した映像「おはなしの は」

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現在新宿伊勢丹でも少し展開されているのを見ましたが、4月29日から5月5日まで伊勢丹新宿店で本格的に開催されるとのことです。母の日のプレゼントをちょっと見て見たいと思います。

参照:森本千絵さんが伊勢丹新宿店をまるごとディレクション、TDC賞2015 受賞作品 | ブレーン 2015年5月号

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