#196 アメリカン・スナイパー/英雄(ヒーロー)とは一体。

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アメリカン・スナイパー /満足度★★★★(4)American Sniper/ジャンル:伝記/132分/監督:クリント・イーストウッド/2015年/アメリカ/配給:ワーナー・ブラザーズ

 

この映画はエンドロールが終わって明るくなるまで、そこまで映画は続いている

▼後で読む。

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ストーリー説明
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イラク戦争に出征した、アメリカ海軍特殊部隊ネイビーシールズの隊員クリス・カイル(ブラッドリー・クーパー)。スナイパーである彼は、「誰一人残さない」というネイビーシールズのモットーに従うようにして仲間たちを徹底的に援護する。人並み外れた狙撃の精度からレジェンドと称されるが、その一方で反乱軍に賞金を懸けられてしまう。故郷に残した家族を思いながら、スコープをのぞき、引き金を引き、敵の命を奪っていくクリス。4回にわたってイラクに送られた彼は、心に深い傷を負ってしまう。

引用:シネマトゥデイより

○感想
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アメリカの元軍人であり、イラク戦争において160人を狙撃したという”英雄”クリス・カイルを描いた物語です。

冒頭のシーンから緊張します。打つか打たないか。その背景にある想いがあるからこそ、その一つ一つの選択に悩まされます。

この映画、アクション映画でも、単なる戦争映画でもないかもしれません。戦争というものに犠牲にされたひとりの男の話です。必ずしも暗い映画ではないんですよね。敵の強敵スナイパーとの真っ向勝負の展開もあり、家族とのドラマもあるので退屈はしないと思います。

アメリカ本国では、戦争を美化する「愛国」映画なのか?それとも「反戦」映画であるか?ということで論争になっているそうですが、そういったこととは別次元で自分の「使命」とは?「正義」とは?「家族」とは?ということをも考えさせる映画だと思います。

主人公クリス・カイルは、子どもの頃、父親に以下のように教えられます。

「世の中には、羊と狼と番犬の3種類がいる。羊は暴力を否定することによって、平和に暮らせると思っている人々だ。だが彼らは、ひとたび狼たちの暴力や悪意にさらされると、何もできずにやられてしまう。そこで、狼たちから羊を守る選ばれた存在が、番犬なんだ。誰かが、この番犬の役割をやらなければならない」

恐らくこの言葉を胸に、幼少の頃から弟を助けたり、そして4度もイラク戦争に従軍したのだと思います。

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狙撃手は、敵から見えにくいところから、襲撃されそうな仲間を助ける(敵をみつけて撃ち殺す)という役割を持っているから、比較的安全なところにいます。クリス・カイルという男は正義感が強く、自分の身が安住してしまうことを嫌い、行かなくてもいいような前線に参加をしたりします。

たくさんのひとを撃ち殺したのも、仲間を守るためなんですよね。撃ち殺すことを決して良しとは思ってなく、帰還するたびに悩み続けます。自分に守るべく子どもが生まれたからなお一層。

強い正義感からか、PTSDになり精神が崩壊し出します。自分が狼(脅威)だと思っていたものを殺してしまうこともあり得るのです。実はそれが本当は番犬だっとしても。戦争を正義だと美化するなんてとんでもない。戦争の被害者になっているのですから。

クリス・カイルは狙撃手として超一流だったことが至るところでわかります。だからこそ、たくさんの人に認められ頼られたのだと思います。それがきっと自分の使命だと思っていたと思います。いわゆる”できる”ひとの悲しさですね。息子の目の前で「君のお父さんは僕のヒーローだ」なんて言われても浮かない顔してます。息子は少し嬉しそうな顔をしてましたけど、いつも一緒にいられない父親として息子のヒーローになっているか、疑問を感じたのかもしれません。

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誰もが正しいことをしているかなんて分かりません。確かなのは、きっと目の前にいるひとを”救う”か”救わないか”の事実だけかもしれません。その意味で、帰国後クリス・カイルはPTSDに悩む帰還兵のために尽くしたのかもしれません。目の前に苦しんでいるひとを救うために。その結果どういったことが訪れたのか、とても皮肉な結果でしたが、今自分が”正しい”と思った行動なので、それが正義だと思います。だからこそ、皆が彼に対して敬意を表したのだと思います。

無音のエンドロールも含めて観て、映画が完結すると思います。このエンドロールがあることによって、このドラマの悲壮感をかきたたせるものでも、ただ単にアメリカの英雄を讃えた映画ではないということがわかると思います。何かに納得して、余韻に浸らせたらダメなのです。この無音の中で、この平和な日常の中で少しでもいろいろな立場から戦争を考えること。そのための時間なんだと思います。

他の映画で、エンドロール中に劇場を後にすることは別に構わないと思いますし、私自身帰ることはあります。ただこの映画を観たからには、エンドロールも含めて映画の内容のひとつと思って観るのが正解だと思います。

ジャージー・ボーイズであんな開放的なエンドロールで泣かしたイーストウッド監督があえて音楽をつけなかったんですから、その意味はとても深い。

ちなみに、第87回アカデミー賞では音響編集賞に選ばれました。あの音はすごいです。良い音響の映画館で是非。他にもアカデミー賞では作品賞、主演男優賞、脚色賞、録音賞、編曲賞にもノミネートされました。

読んで頂いて、ありがとうございます。

こちらの映画も是非
#095 ゼロ・ダーク・サーティ

●参照

○予告

公式サイト

○参考に読んだおすすめ感想ブログ/サイト
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