#195 フォックスキャッチャー/自分の手を汚せるか

NewImage.png
NewImage.png

フォックスキャッチャー /満足度★★★★(4)Foxcatcher/ジャンル:伝記/135分/監督:ベネット・ミラー/製作:2014年,日本公開:2015年/アメリカ/配給:ロングライド

 

孤独な中で、もがき苦しむ深くとも哀しいお話。

▼後で読む。

▼スポンサーリンク

ストーリー説明
NewImage

大学のレスリングコーチを務めていたオリンピックメダリストのマーク(チャニング・テイタム)は、給料が払えないと告げられて学校を解雇される。失意に暮れる中、デュポン財閥の御曹司である大富豪ジョン・デュポン(スティーヴ・カレル)から、ソウルオリンピックに向けたレスリングチーム結成プロジェクトに勧誘される。同じくメダリストである兄デイヴ(マーク・ラファロ)と共にソウルオリンピックを目指して張り切るが、次第にデュポンの秘めた狂気を目にするようになる。

引用:シネマトゥデイより

○感想

この映画実話です。
※事実と異なる部分もあるようですが。
映画『フォックスキャッチャー』では描かれなかった11の真実! | Ciatr[シアター]

冒頭から引き込まれました。終始捉えどころがないというか不思議な映画でした。(なぜ不思議なのかは後ほど)

簡単にあらすじを述べると、

ロサンゼルスオリンピック(1984年)レスリングで金メダルを取った兄弟がいました。主に弟であるマーク(チャニング・テイタム)目線で物語が進みます。レスリングって当時アメリカではあまり重視されていないスポーツでして、たとえオリンピックで金メダルを取ったとしても経済的に苦しい生活を送っているわけです。古びた練習場で毎日練習し、小銭稼ぎに小学校みたいなところで子どもに講演会とかしたりしてます。しかも、両親が小さいころに離婚し、アニキであるデイヴ(マーク・ラファロ)とともに暮らしていました。当然学もあまりなく、聞いてる子ども達もつまらなそーにしています。

アニキは良いですよ。相手を分析して戦略型(テクニック型)の選手だからか、頭も良く、コミュニケーション能力もあるのでしょう。奥さん、子どもも2人いてとっても幸せそうな家族を持っています。対して弟マークが悲惨です。マークはアニキと違って完全にパワー型の選手です。もうコミュ障というのがすぐにわかります。家帰ってひとりで、金ないからインスタントラーメンみたいな食べてるわけですよ。ここものすごく切ないんです!!そしてその後、デュポン財閥という御曹司の超金持ちジョン・デュポン(スティーヴ・カレル)から会いたいと電話がくるんです。そこから生活が変わっていきます。ここまで、音楽なしで進むところが緊張感があって良いです。

対照的な性格の兄弟で、不運な想いをしてきた弟にある日大きなチャンスが訪れます。その大富豪がスポンサーになってやると言い出すのですから。キレイな練習場を見たときのマークの輝き。キュンとします笑 今まで言葉数少なく、表情もずっと眉間にしわ寄せている彼が、これはチャンスだってアニキにウキウキしながら一緒に行こうと話しているんですもん。でもアニキは、今の家族がいるし今ついている人にも不義理になるから行けないと断ります。

これまた切ない。弟としてはアニキとずっと一緒にいたし、でも生活はどんどん差がついている。アニキがそんな風に断ったら、なんか自分が金だけに捉われていくみたいでカッコ悪いじゃないですか。もちろん、弟も金だけの理由でその大富豪のスポンサーについていこうと思っていないわけです。自分を本当に必要としてくれて、将来を見てくれる人だと信頼したから。その後は、弟ひとりでその大富豪のもとへ行きます。雨の中、ボロい車で向かって、着いたら着いたで小便するシーンがこれまた切ない。。。

NewImage

これが冒頭30分くらいの話です。私もアニキがいますし、内うちに溜めてしまうタイプではあるので、弟に共感して観てしまいます。
そんないろんなことに恵まれない弟がアニキを追い越すために、その場で良きコーチともに訓練して戦う話かと思いきや、そんなアメリカンな映画ではなかった。スポ根映画ではないですよ。ある意味これ、ミステリーです。

マークは自分を信頼してくれて、大金まで出してくれたデュポンを全力で信頼するんです。恐らく今までの自分を変えたいという想いなのかもしれません。あなたのために金メダルを取りますと、失望させたくない!とある種不安の裏返しのように黙々と練習に励みます。

ただ、マークが大富豪ジョン・デュポンを訪れたときからなんか違和感あるんですよね。デュポンはアニキもセットでくることを期待していたし。そんな老いぼれじいさんが、金だけ出すと思いきやコーチとして練習場にやってくるし。対したアドバイスもしない。形だけ立派な感じです。やたら自分の見栄とか気にするし。どんどんどんどん違和感が大きくなるんです。しかも誰一人それを発するシーンはないです。だから観ている方もいろいろ想像できるんです。その違和感の謎が少しずつ、きっとこうなんだってそれとなく理解できるようになってきます。

NewImage

大富豪ジョン・デュポンが望んでいること。不安に思っていること。
弟マークの苦悩から、大富豪ジョン・デュポンの苦悩へと話の主軸が変わってくると思います。
大富豪ジョン・デュポンがなぜ、射殺事件を起こしたか。

この映画多くは語らない映画です。しかもマーク目線だったらわかりやすいですが、話が完全にデュポンになり、デュポンのこともまた多く語られていないから。感情も出ませんし、不可解な行動のみです。だからこそ、はっきりせず最終的になぜ????という疑問符がつき終わってしまいます。

あくまで私なりの解釈ですが、
以下少しネタバレ書きます。

デュポンはおぼっちゃま育ちで何不自由なく過ごしてきて、自分の力で何か成し遂げたことはなかったのだろうと思います。全てお金や親の力で解決できる問題だったから。当然親にも本当の意味で認められたことはなかったに違いないです。だからこそ、その母親に認められたいという想いから、レスリングという競技を通して祖国に報いることをしようと思ったのではないでしょうか。

でも皮肉なことに、自分の力でやっていると思っていることが結局は今までのように人をお金で買って成し遂げようとしているので同じことなんですよね。そこが非常に哀れです。フォックスキャッチャーとは狐狩りのことで、イギリスの貴族の趣味(スポーツ)のよう。狐を狩る人間は何もせず、最後は犬に噛み殺させるものみたいですが、それと同じことをしています。自分の手を汚して何かを捕まえないと誰にも尊敬も、認められもしないことだと。それに気づいたか否かはわかりませんが、自分を一番認めて欲しかった対象である母親が亡くなってからはどうでもよくなったのかもしれません。それがラストの行動につながったのかも。

ジョン・デュポンとマークは育ってきた環境は全く違いますが、共通点は、”ひとり”(孤独)であることだったと思います。アニキは世間では認められていて家庭もできているが、自分はアニキのサポートのおかげでここまでこれたと思われている。だからこそ、アニキと離れて自分の力でやりたいと思う気持ちも共感しました。

マークの結末を見た後、ほっとしました。相変わらずもがき苦しんでいると思いますが、それでも堕落的に生きてしまったあのときよりましだし、少なくとも!本当の意味で兄に依存せずともちゃんと生きているって。

この映画、静かな中で突如出る音も印象的で、静と動がはっきりしています。だから淡々とした映画に見えながらも2時間ちょい飽きず観れます。時間が経つにつれて、その深さに魅了されるとても不思議な映画です。自分は好きな映画でした。

ちなみに、受賞はされなかったですがアカデミー賞では5部門にノミネート。監督賞、主演男優賞(スティーヴ・カレル)、助演男優賞(マーク・ラファロ)、脚本賞、メイキャップ&ヘアスタイリング賞。マーク・ラファロの鼻はつけ鼻です。この変わりようはすごい。以下に比較画像もあるので。
映画「フォックスキャッチャー」感想~映画史上最も静かで実験的なスポーツ映画・・なんだけど | THE MAINSTREAM

読んで頂いて、ありがとうございます。

●参照

○予告

公式サイト
公式Facebook
公式Twitter

○参考に読んだおすすめ感想ブログ/サイト
フォックスキャッチャー/欲しいものは、何でも手に入れた | 映画感想 * FRAGILE
「フォックスキャッチャー」誰もが自分に従うと思っていたのに、ただ一人自分の自由にならない。|ゆきがめのシネマ。試写と劇場に行こっ!!
2015-02-24 – 不発連合式バックドロップ
映画感想『フォックスキャッチャー』 「人は自分自身にしかなれない」という悲劇 – 日帰れ!!ホラーハウス弾丸ツアー!!
【連載】田中泰延のエンタメ新党(1)フォックスキャッチャー | 企画 | 街角のクリエイティブ
映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評 : フォックスキャッチャー
超映画批評「フォックスキャッチャー」70点(100点満点中)
『フォックスキャッチャー(FOXCATCHER)』ベネット・ミラー監督、マーク・ラファロ、チャニング・テイタム、スティーヴ・カレル: 映画雑記・COLOR of CINEMA
『フォックスキャッチャー』ムチムチの男たちが絡み合う先で。 B+ | Emotion3.2
フォックスキャッチャー ( 映画レビュー ) – 俺なりの映画レビューブログ – Yahoo!ブログ
フォックスキャッチャー – 映画の話でコーヒーブレイク

●LINE@はじめました!ブログの更新情報等をいち早く知りたい方是非友達登録お願いします。
'stats.label.addfriend' (MISSING TRANSLATION)

●記事を読んだ感想を書いてくれると喜びます!右下”コミュニティ”と書かれているアイコンから書き込めます(PCで見たときのみ現れます)

●宜しければFeedlyの登録もお願い致します。(週2〜3回更新しています。)
follow us in feedly

▼スポンサーリンク