
プロミスト・ランド /満足度★★★★(4)PROMISED LAND/ジャンル:社会派ドラマ/106分/監督:ガス・ヴァン・サント/公開:2012年,日本公開:2014年/アメリカ
環境問題を謳う映画ではないと思うなぁ。
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ストーリー説明

寂れた田舎町のマッキンリーを訪れた大手エネルギー会社の幹部候補スティーヴ(マット・デイモン)。そこには良質のシェールガスが埋蔵されており、不況に苦しむ農場主たちから安値で採掘権を買収する交渉のため同地に来たのだった。住民を簡単に説得できるともくろんでいたスティーヴだったが、思いも寄らぬ障壁が立ちはだかり……。
引用:シネマトゥデイより
○感想

マット・デイモン主演、ガス・ヴァン・サント監督というと、「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」ですね。
ロビン・ウィリアムズの訃報を聞いて、ちょうど先週見返したところでした。久しぶりに見て感じ方も変わりました。
感想はこちらへ。”信頼”の映画でした。
そして、本日公開の「プロミスト・ランド」を観てきました。
まず言いたいことが、劇場数が少ないこと。東京でさえ2つの劇場でしか公開されていません。
▼映画「プロミスト・ランド」公式サイト » THEATER
アメリカでも配給会社も大きくないらしく、また今回の日本での公開も単館系の映画館のみ(その上日本公開まで2年もブランクが、、)。そして宣伝もあまりされていない気がしました。マット・デイモン主演、ガス・ヴァン・サント監督なのにです!
これはわけありということ。環境汚染問題という非常にデリケートなことを題材にしているということが原因かと推測されます。
あまり深く言及できる立場ではないので言いませんが、日本でも福島原発撤退に関して議論されていて、そちらに関心がある方も今回もしかしたらこの映画に関して興味を持っているかもしれません。ちなみに、私が観た回は高齢の方が多かったように思います。単純に映画好きっていうだけで観ていない方もいるのかもしれません。
ただ、私が思うにあまりそういう方向に期待して観る映画ではないかなと思いました。社会啓発的な映画ではないからです。
初めに言っておきます。これは自分の仕事に誇りも持ち、ひとを真に幸せにするために裏と表をみつめて葛藤する男のドラマです!
今回この映画を観て初めて知ったのですが、アメリカでは石炭石油に代わる新たなエネルギー資源として、”シェールガス”と呼ばれる、地下深くにある頁岩(シェール)層から採取される天然ガスが注目されているみたいです。もちろん、メリットだけでなく、その影響として地下水の汚染の問題や採掘による地層の弱体化が挙げられているとのこと。

原題の『PROMISED LAND』は、”見込みのある土地”ということ。
”見込みのある”という点がポイントだと思います。どちらかというとプラスに捉えられると思います。もちろん、この映画が訴えたいことは単に町村の公害、汚染問題などを否定や肯定するということではないです。(エネルギーを得ることで一攫千金、人生の逆転を狙うことに関してもです。)その判断はあくまでもそこに関わるひとたちが裏表を見て一人ひとりが責任もって未来を見て決めること。綺麗事や正論だけではやっぱり決めることができなくて、自分だけのことでもなく、周りの人、家族、未来の子どもたちにとってのことも考えて結論を決めること。
町のひとたちを貧困から救うことが”できる”。はたまた一攫千金ではなく、リスクを取って街の景観自然安全想いを残そうとすること。
だからこそ、”決断”に関して、ものすごく葛藤するんです。
私正直、この映画始終未見にシワを寄せながら観ていました。なんとも言えないくらい、そこにいる人たちに関して”違和感”を感じていたのです。みんな胡散臭い感じがしてしました。エンタメ映画らしく分かりやすく善悪を描いているわけではないので仕方ありません。
ただ、スティーヴ(マット・デイモン)の決断は良かった。何のため(誰のため)の仕事なのか?根本的な仕事に対する価値観が素敵でとても誠実でした。
そして、会場の体育館のレモネード売りの少女を見てこの映画を見て初めて救われました。25セントのレモネード。お釣りは受け取らない。あの子の行動姿勢こそが、もしかしたら仕事に対するあるべき姿かもしれません。
ものの対価をその通りに受け止めるということ。
意外な展開に驚き、広大な映像と静かな心地良いい音楽と一緒でとても綺麗で不思議な映画でした。恐らく、また何年か経ったら観たくなる、そしてまた「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」のように感じ方も変わってくるだろう映画でした。
読んで頂いて、ありがとうございます。
●参照
○予告
○参考に読んだおすすめ感想ブログ/サイト
◆人生はいつでも、やり直せる!『プロミスト・ランド』映画評 by 藤原敏史・監督 | 日仏共同テレビ局フランス10
●採点基準についてはこちら→映画感想(レビュー)の作法/映画ブログをやっていてよかったなー、という瞬間
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