
青天の霹靂 /満足度★★★★☆(4.5)seiten-movie/ジャンル:ヒューマン(家族、コメディ)/96分/監督:劇団ひとり/2014年/日本
王道かもしれないけど。母の日に公開して欲しかったな。そんな家族を描いた映画でした。

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簡単(&雑な)ストーリー説明

39歳。マジックバーで働く、さえないマジシャンの轟晴夫(大泉洋)。生まれてまもなく母に捨てられ、父とも絶縁状態。「普通の日常」を手に入れることすら難しい現実に気づき始めていた彼は、ある日、10年以上も関係を絶っていた父親・正太郎(劇団ひとり)がホームレスになった果てに死んだのを知る。そのとき、青空の中、突如稲妻が直撃し、目を覚ますと、40年前(昭和48年:1973年)の浅草にタイムスリップしていた。そこでマジシャンだった父と助手を務める母(柴咲コウ)と出会うことで、自分の出生の秘密を知ることになる。
一部参照:シネマトゥデイ
○感想

2014年5月24日公開予定のこの映画、試写で一足先に観てきました。
劇団ひとり監督第一作目の映画です。
ラジオで、毒舌で有名な爆笑問題の太田さんが、本人目の前にして絶賛していたのを覚えてます。
●Youtube→青天の霹靂を見た感想 爆笑問題が大絶賛 原作読むより面白い
改めて感想を聞いてみたのですが、身内への贔屓目なしの意見感想だと思いました。
”見終わった後、世界を抱きしめたくなる”
太田さんはそういいましたが、こんなキザなことを言ったのは”ギャグ”なのかと最初思ってましたが、本当に少しそう思ってしまうから不思議な映画です。
ラジオ内で、劇団ひとり監督も言ってましたが、小賢しい演出(制作側だけが気持ちよくなってしまうだけのセンスあるでしょ的な自己満足演出)はありませんでした。
映画好きの方でも満足できる演出だと思います。というのは、私も映画についてさほど詳しくはないですが、古典的な技法をちゃんと然るべき所で、上手く使っているからです。カメラアングルや、場面転換、コマ割り、ライトの当て方など。始終太田さんは、”絵がきれいだ”って褒めたましたが、私もそう思いました。
玄人は恐らく、もっと斬新で新しい(独創的な)撮り方を、とか思うのでしょうが、我々一般人が観る分には全く問題なく、逆にとっても見やすい演出でした。
やはり、この映画の特徴は、”分かりやすい”ということに尽きると思います。
複雑に、考えさせたり、裏の裏をかいたり、するのではなく、直球です。
そこが物足りないと思う方、もっと深読みしたいとか、思う人はあれですが、素直に感動したい!って思う人にとってはとっても良い映画だと思います。
笑ったり、きれいだなって思ったり、驚いたり、そして心打たれるそんな映画です。
96分と短い映画ですが、この時間に抑えたのはさすがだなと思います。これ以上長いと間延びする内容ですし、ちょうどいいです。
きっと、始まりから、終わりまで夢中になって見れると思います。
つかみの大泉洋のワンカット長回しのマジックシーンですが、あれは86テイクもしたそうです。ちなみに、マジックは全てを通して、吹替なく、本人が演じているとのことです。CGもなしです。
大泉洋さんは、4か月の練習を経たそうです。派手なマジック程簡単とのこと。オーソドックスなテーブルマジックほど、そのマジシャンの力量が試されるみたいです。
確かに、コインマジックとかは見せ方だったり、センスの部分もありますしね。すごいなぁって思います。
これは、カップル向けの恋愛映画ではありません。
夫婦の愛とも違う気がします。やはり、家族の物語です。
けれども、「always 三丁目の夕日」のような、昭和の家族愛とは違いますのでご注意を。
どうしようもないけど、気のおけない父親。
そして、愛のある献身的な母親。
さえない人生を送ってきた息子。
自分の生れたルーツを見ていくにつれて、自分が生きる意味を知ることになります。
バック・トゥ・ザ・フューチャーのような展開ではあります。
でも、もっと日本的です。あたたかいイメージがあります。
そして、やはり笑いもあります。
面白いのが、劇中の舞台で笑わしていたり観客と、私達映画を観ている側の笑いが一致すること。
”喧嘩芸”笑えますよ。
劇団ひとりお得意の中国人ネタですね。大泉洋との兼ね合いがとても面白い。

音楽も良い!
挿入歌がまた良いんです。
そして、キャストですね。
大泉洋は前編を通してやっぱり良い。ふがいない生きている感ゼロの演技。そこからの最後のマジックの顔つき。母に送る”未来の予言”。本当に良かった。
劇団ひとりは、初め、演技が「ゴッドタン」の「キス我慢選手権」を思い出しがちでしたが、観ているうちに気にならなくなります。不思議と。
そして、柴咲コウ。
正直、そこまで好きではなかったんです。ただこの映画見たらかなり好きになりました。可愛いし、カメラ、撮り方分かっていらっしゃる。
季節の移り変わりにより、それぞれの柴咲コウの顔が見れて、どれもさえて美しい。
笑顔いいよね。目尻にしわがあって、そこも良いです。あのラストの感動のシーン。少し止まって、その後わっと感情がごぼれるあれがとってもいい。
そして、Mr.Children「放たれる」がエンドロールが流れ、ちゃんと余韻に浸る時間も作ってくれました。
映画館で「どろろ」を観た時、主題歌の「フェイク」がエンドロールで流れるタイミングがなんとも言えない残念さだったのを覚えているので、
少し、心配してましたが、杞憂でした。
素晴らしいタイミングで、「放たれる」が流れ、サビだけでなく、AメロかBメロかは分かりませんが、とっても良いメロディでした。
歌詞も詳しくは覚えてないのですが、良かったです。
書き下ろしの曲のようですが、自分の思い込みや、固定観念から”放たれる”という意味でしょうか。
雷に打たれて、タイムスリップしたので、青天から”放たれる”雷という意味もあると思います。
▼2014年5月24日映画公開日に配信限定リリースされることが発表されました!
Mr.Children、映画『青天の霹靂』の主題歌“放たれる”を5/24に配信限定リリース (2014/05/17) | 邦楽 ニュース | RO69(アールオーロック) – ロッキング・オンの音楽情報サイト
Mr.Children | TOY’S FACTORY
▼ミスチルの「放たれる」の一部歌詞についてはこちら。
全ての歌詞を知りたい方は以下のブログへ。
→Mr.Children『放たれる』歌詞意味感想【青天の霹靂ネタバレあり】 | コレイイ(・∀・)
この映画を劇団ひとり監督が作ったきっかけを、先日のスマスマで大泉洋がお話されてました。
数年前、マジックバーで見たペーパーローズが浮いて、あまりにも美しく、それが本物のバラに変わる瞬間にとても感動し、いつか映画にしたいと思ったのが始まりだとのこと。
ラストのマジックシーン観て、チャップリンの「ライムライト」を思いだしました。
▼#003 ライムライト
人生はすべて願望だ。意味じゃない。薔薇は薔薇になろうと望んでいる。
−映画『ライムライト』 カルベロのセリフ より
バラが美しいのは、美しく咲こうなんてバラ自身が思っているわけではなく、
ただ生きようとして、「バラであれ」ってやってるだけ。
一生懸命必死に生きよう、自分ができることをやろう、という姿こそが、人を美しくさせるんじゃないかって思います。だからこそ、あのペーパーローズを柴咲コウ演じる母親が気に入っていたのかもしれません。
キャッチコピーの「笑いと、たぶん一粒の涙の物語」
隣の女性がとても泣いていたので、なんか泣くもんかと思いつつも、本当に一粒だけすらっと頬を涙が流れました。
とても、美しく、見終わった後、晴れ晴れとした気持ちになれる映画でした。
あ、興行50億目指しているそうですが、どうですかね。日本の映画賞もこういう映画ってオーソドックスなので評価しなそうですし、、、、
でも、多くの人がはまる映画かなって思います。短いので是非。
読んで頂いて、ありがとうございます。
●参照
○予告
○参考に読んだおすすめ感想ブログ/サイト
◆「吹替、CG一切なし!本気のマジックに注目」 青天の霹靂/ユーザーレビュー – Yahoo!映画
◆映画と教育:『青天の霹靂』……うだつの上がらぬ人生にも花開く瞬間がある! – 学びの場.com
◆試写会「青天の霹靂」感想 :: 雪風エンゲージ
◆映画「晴天の霹靂」素敵な魔術師たちの奇術に癒されますよ。 | きさろぐ。
◆いい映画を観た。「青天の霹靂」 – 窓の向こうに
◆マサじいの えんため日記: 青天の霹靂 【映画感想、あらすじ】
◆『青天の霹靂』—感想・レビュー くそ映画学会
◆ラストにはふたつの解釈? 映画「青天の霹靂」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー カゲヒナタのレビュー
◆青天の霹靂(ネタバレ)|三角絞めでつかまえて
◯ちなみに。
▼Apple、iBookstoreの「今週のブック」として劇団ひとり著「陰日向に咲く」をピックアップ | Linkman
◯タイムスリップ系映画おすすめ映画
◆バック・トゥ・ザ・フューチャー
◆時をかける少女
◆デジャ・ヴ
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