#099 死神の浮力/伊坂 幸太郎

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満足度★★★★(4)

ちょっと重いテーマだけど、読み終わった後、さわやかだから良い

▼後で読む。


●伊坂幸太郎の本レビュー一覧

今までのレビュー

伊坂幸太郎の本、16冊目のレビューです。

#001 重力ピエロ(2008年3月)
#013 ゴールデンスランバー(2008年7月)
#015 死神の精度(2008年7月)
#021 グラスホッパー(2008年7月)
#023 I LOVE YOU(透明ポーラーベア)(2008年8月)
#031 チルドレン(2008年8月)
#032 砂漠(2008年8月)
#033 終末のフール(2008年8月)
#039 ラッシュライフ(2008年8月)
#061 モダンタイムス(2009年3月)
#071 SOSの猿(2009年12月)
#072 バイバイ、ブラックバード(2011年6月)
#074 マリアビートル(2011年6月)
#082 残り全部バケーション(2012年11月)
#088 ガソリン生活/伊坂 幸太郎(2013年3月)

作品リスト

※作風が似ているかなぁと個人的に思ったものを緑にしています。

1.オーデュボンの祈り(2000年12月)
2.ラッシュライフ(2002年7月)
3.陽気なギャングが地球を回す(2003年1月)
4.重力ピエロ(2003年4月)
5.アヒルと鴨のコインロッカー(2003年11月)
6.チルドレン(2004年5月)
7.グラスホッパー(2004年7月)
8.死神の精度(2005年6月)
9.魔王(2005年10月)
10.砂漠(2005年12月
11.終末のフール(2006年3月)
12.陽気なギャングの日常と襲撃(2006年5月)
13.フィッシュストーリー(2007年1月)
14.ゴールデンスランバー(2007年11月)
15.モダンタイムス(2008年10月)
16.あるキング(2009年8月)
17.SOSの猿(2009年11月)
18.オー! ファーザー(2010年3月)
19.バイバイ、ブラックバード(2010年6月)
20.マリアビートル(2010年9月)
21.PK(2012年3月)
22.夜の国のクーパー(2012年5月)
23.残り全部バケーション(2012年12月)
24.ガソリン生活(2013年3月)
25.死神の浮力(2013年8月)

「死神の精度」の続編です。
#015 死神の精度

ただ今回は短篇集ではなく、長編です。

ちなみに、著者自身曰く、14の「ゴールデンスランバー」が第2期の始まりだそうです。

第1期は、13.フィッシュストーリーですかね。
※厳密に言うと「オー! ファーザー」は単行本化が遅かったため執筆時で言うと「オー! ファーザー」が第一期ラスト)

そこから、
15.モダンタイムス(2008年10月)
16.あるキング(2009年8月)
17.SOSの猿(2009年11月)
の3つは読者の中で賛否両論(抽象的な題材だったからか)でしたが、

「残り全部バケーション」「ガソリン生活」と少しあったかい感じのストーリーになってます。

今回は「死神の精度」の続編ということで、死がテーマなわけですが、
今回は”死”についての考え方がちょっと多いかなと感じました。

哲学的な話(カントとかも出てきます)も多々ありますが、それでも、千葉という死神の話がちょっとずれてて、
そこがコミカルでやっぱり重くなりすぎず、一気に読める本になってます。

【著者からのメッセージ】
前作「死神の精度」を発表した時には、「これで千葉君の物語は完結したぞ」という達成感がありました。
ただ、唯一の心残りは、長編で千葉君を掛けなかったという点でした。ですので、当時から「長編を書こう」と考えてはいたのですが、ただほかにも書きたいお話がいくつかあり、順番にやっているうちにいつの間にか八年が経っていました。

八年とはそれなりに長い時間です。

僕の小説に対する向き合い方はもちろん、生活に対する考え方もいろいろ変わりましたし、それこそ読者の人の環境も変わっているのではないかと思います。ただ、いざ書いていると、死神の千葉君は特に変化もないように思えました。

世の中には本当にいろいろなことがありますし、何が起きるのかまったく分からないものですが、とにかく、こうして、千葉君の長編が読んでもらえる時が来たことがすごく嬉しいです。
「死神の浮力」特設公式サイトより

●あらすじと感想。

主人公は死神の千葉という男。

死神の仕事は、1週間後に死ぬ運命にある人間を調査観察し、
死ぬべき人間かどうかを判定すること。

今回は、小学生の娘を殺されている作家の山野辺。
妻とともに、無罪判決を受けた犯人に復讐を果たそうとする所に死神の千葉が同行する、そんな話になってます。

●死神の浮力 イメージビデオ1

●死神の浮力 イメージビデオ2

伊坂幸太郎の本の面白さは特に以下5つがあると思います。

①キャラクター
②ウィットに富んだ台詞、話。
③伏線。
④過去の作品からのつながり
⑤メッセージ性

千葉というキャラクター。
参勤交代や大名行列、床屋のサインポールが白と赤と青の理由。

以下の様ななるほどと思うセリフ。

注意深くしろと命じられても、注意不足が治ることはは少ない。
重要なのは、うっかりミスの防止策ではなく、起きた時に大事故に発展しないための工夫なんです。

そして、様々な伏線もあります。ムダな話がありません。

サイコパスと呼ばれる、良心を気にしない脳みそを持つ人間は、25人に1人の割合でいると言われているそうです。
その25人に1人であると思われる本城という犯人に、山野辺夫妻の娘は殺されます。

恐らく、ずっと読んでいっても、犯人の人間味とか、その事件の背景とかは分からなく、モヤモヤは残るかと思います。
犯人側の心理描写はありません。ただ、犯人は、死んで忘れれられることへの恐怖から行動しています。

死についての価値観。

「死神の浮力」という題名の”浮力”にも意味があります。

簡単に言うと、物には水の中で浮かぶ力があるということです。
水が入ったグラスの中で氷が浮いているのは浮力が働いているから。

その浮力の強さに重さは関係せず、体積によって決まる。よって量の大きい物ほど強い。
氷が溶けたら水の量が増えてグラスから溢れる気がするけどそうならない。氷は姿を消すけど、全体の量は変わらない。

それが人間の死と似ていると。

たった一人の人間の死は、社会からは気に留められず、そして総体としても影響を生みません。
ただし、氷が溶けて水に混ざるように、誰かの記憶となって溶けて覚えられているから”減らない”とも言える。

誰かの想いや、記憶が残るって、思うと少しだけ寂しくない。
なんかつながっているなぁって感じるから。

先に行って、怖くないことを確かめてくるよ

自分の子どもに、言いたいコトバだなぁって思いました。

最初は、犯人に対してイライラしっぱなしですが、
ラストが最高にさわやかで、ほっとするそんなお話。

読んで頂いて、ありがとうございます。

参照

この方の感想記事は素晴らしいなと思いました。
中でも作品間リンクが良いです☆ 読後是非読んでみて下さい。

伊坂幸太郎さんの<死神の浮力>【紙飛行機ドットコム】
 

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