
満足度★★★★★(5)
不器用ながらも、社会に出て生きている人へ。
前置き
かなり面白かったです!満足度★五個の本は正直最近ありませんでした。読むとき良いなと思った文章があったら、折り目をつけるのですが、この本を読んでいたらほとんど全部折り目がついてました。途中で折り目つけるのを辞めようととも思ったんですが、あえてつけてみました。

本当に読んでて、共感がたくさんあって、途中で読むのをやめて考えたり、いろいろ考えたり、笑ったり、感動したり、本当にこの本は良い本だと思いました。
社会に出たら、自分が思うようなことしたいことってなかなかできないですよね。。社会人なら当たり前のマナーもあります。でも、それって一体どういう意味なんだろとか、意味あるのとか考えちゃったりする。。丸くなった自分に対しての苛立もあったり、、最近になってそんな社会と向き合う生き方を模索してみつけた今年34歳の若林の生き方。
すごく共感できる内容になってます。
オードリーの若林正恭という芸人のことが、嫌いじゃない人は読んで損はないと思います。
もっと社会に溶け込んで、楽しく生きたいなぁって思うひとにおすすめです。
ちなみに、芸人本で面白いなぁって思ったのは、麒麟の田村の、「ホームレス中学生」以来です。(もう5年以上も前になるんですね。。。)
◆ざっくり要約!
社会に対する疑問、感覚、いわゆる中二病といわれるような考え方、どれをとっても、”普通”な一般の人の日常の悩みを、若林なりに解釈して、納得して、なんかちょっと成長していきます。
不器用ながらも、どうやったら社会で生きて行ったら、楽しく生きられるのか考え、そして、社会人大学へと卒業するだけちょっと成長していく、そんなことをおもしろおかしく書いている、でもかなり深い本。
◆内容について。
雑誌のコラムを書籍にしているので、30個くらいに話が分かれてて、読みやすいです。ひとつのコラム3〜4ページくらいですからね。文体もとっても読みやすいです。
その中でもお気に入りのをいくつかご紹介。
まず、その中のひとつ、「馬鹿の定義 P37」というものについて。
導入で、成績の伸びない子の典型のくだりがあります。
成績の伸びない子は、分からない問題にこだわり続けるのに大使、成績の伸びる子は分からない部分を次々と飛ばし、分かることから済まして行く、要領のいい子だと。
学生時代の若林は、分からない問題にこだわり続けるどころか、今、なぜ自分が数学を勉強しなきゃいけないのかにこだわり続ける、”成績の伸びない子”だったそうです。
これは中学生にありがちな考え方ですよね。「生きていることに意味があるのか?」なんて考え始めちゃうやつは絶対、今人生楽しめてません。自分がそうでした。笑
社会人になって、目上の人のコップが空いてたら、お酌するのが当たり前。
それすらも、若林は理解できなく、ずっと手酌で飲んでいた先輩に怒られて初めて、図書館にいって手酌について調べたそうです。
ちなみに、手酌については、
男女雇用機会均等法が成立する前の時代、給料は年功序列で男女格差が大きかったらしく、会社の飲み会などの飲食費は年上の上司が支払うことが通年だったらしい。そこでただ飯のただ酒というのも、申し訳ないので「せめてお酌だけでも」というのがことの始まりだということが分かった。
それを知った若林は、おごりのときだけはお酌して、割り勘のときはお酌をしないでいこうと考える。。
確かに、不器用で頭が悪い。
でも、それを聴いたディレクターの話が深い。
わからないことにこだわらにあ人は、1から100は作れるけど、1は作れないんだよ。つまりフォーマットをなぞることはできても発明はできないんだよね。
〜でもね、世の中には0から1を作って、それを、さらに1から100にする人もいるんだよ。(イチローや石川遼のように)
それから、若林は、0から1とか、1から100とか無理だから、せめて0.7ぐらいから75辺りを、、と言い始めるのはさておき、
この発想は面白い。
私は結構考えることが好きです。『Strengths Finder 2.0』でも、「内省」が1位になってます。(参照)
考えるのが好きな人って、どうしても行動に伴うのがおそい。だからこそ、100にするのって不利だし、できない。でも、0から1にするのはできるかなって最近思います。
中島みゆきの「ファイト」
http://youtu.be/Mca5eeiNE24
カロリーメイトのCMでまた話題になりましたが、昔小学生のとき、「空と君のあいだ」のCDを買って、そのB面の「ファイト」の方が好きになっちゃったの思い出します。
タイトルとは裏腹に結構、暗い歌なんですよね。歌詞も結構きつめです。
仲の良い芸人から明日、大きなチャンスの漫才コンテストがあるというメールが来て返した言葉が、、
「冷たい水の中をふるえながらのぼってゆけ!!」
楽しむ余裕はないだろうし、激しい自分との戦いも強いられるから「冷たい水」と言い切って、それでもいい結果が出ることを祈っている、、という意味。
言いたいこと、気持ちは分かりますが、気持ちの伝え方、不器用すぎて笑えます。
性格とは、形状記憶合金のようなもので元々の形は変わらない。〜結局、今回の人生でこの形状記憶合金から下りられないんだと自分を変えることを諦め、自分の性質を受け入れることにした。
若林の大学の先生の言葉。
若いときは、理想を追うが、歳を重ねると相応なものを追うようになるから安心しろ
自分の負の部分が有効利用できるから、人生って面白いなって思います。
大丈夫と言うことから、大丈夫は始まるのだ。
良い話です。
恋人といるときの自分、会社での自分、両親の前での自分と、人には様々な自分がいて、その分けられたひとつひとつの自分のことをディヴ(分人)と呼ぶ。
「キャラ」というより操作性がなく、対人関係や居場所によって自然と作られる自分がディヴ(分人)。
夫婦の間柄で全てのディヴ(分人)を見せるかどうか。ぼくは全てを見せなくてもその人との関係をより良いものであろうとすることそのものが愛情のひとつなんじゃないかと考える。
この言葉は突き刺さりました。より良い人間関係をするために、自分を殺すのであれば、それはそれで良いって。。なんて優しい言葉なんだ。。社会人の生き方そのものです。
「今、幸せですか?」という質問に対してある作家さんが、
「ジェットコースターみたいなものかな」と答えた話。
わざわざ怖い思いをするために時間をかけて並ぶ。
絶叫しながらのる。
二度とのりたくないと思う。
でも、充実感がある。
だから、また次のジェットコースターに並んでしまう。
共感しました。辛いことも、嫌なことも、たくさんあります。人生なんてそればっかじゃないかって。でも終わるとなぜだか充実感が残る。だからまた頑張ろうと思う。その繰り返しだなぁって本当に思います。ジェットコースターに乗ったあと、ソフトクリームを食べて安心する瞬間。そのひとときが幸せなんだろうなぁって思います。
何度も失敗して嫌なことを味わって、自分が社会に受け入れる手段を試して行く。
そんな話が、「穴だらけ P111」 で黒ひげ危機一発の話でもあります。
この話に近いのがネットでアップされてます。
オードリー・若林「評論家きどりばかりのツイッター」 | 世界は数字で出来ている
他人を批判することで、自分が優位にたっていると思い込む。
最近では、乙武氏の入店拒否騒動がネットでたたかれてました。ツッコむことを楽しんで、ツッコまれることを嫌がる人が多い。
でも、ぼける人がいるから、面白い。
出る杭を拒み続けて、ツッコミを続けたあげく、死の直前に何も楽しんでいなかったなんてことに気づく大ボケ、全然笑えない。
〜ツッコまれればツッコまれるほどぼけてるんだ。つまり面白く生きているんだ。
他人の批判すること。SNSが普及して多くなったと思います。自分も参加はしないけど、よく頭の中で考えちゃいます。でもそれって全然結果的に楽しくないんですよね。もし死ぬとき、ツッコミしてるときの自分を思い出すかなぁ。。それよりも、ボケてて、人から笑われている自分を思い出してくすって笑って死にたいな。。
他人から、笑われても、ツッコまれて生きて行く側になりたいな、失敗恐れずどんどんチャレンジしたいなって思える話でした。
他にも、くすって笑える話もたくさんあります。
「おばあちゃん」の話はうけました。1枚だけ堂本光一、、、笑
書きたいことは山ほどありますが、紹介だけ。。。
○無趣味について悩んでいる人は→「趣味 P27」
○周りの人が何考えているか気になる人は→「自意識過剰 P45」
○休日、また時間を無駄に過ごしてしまったと思ってしまう人は→「夢日記 P49」
○コンプレックスがある人は→「コンプレックス P95」
○ネガティブな感情をどうにかしたい人は→「ネガティブモンスター P133」
○人の言うことがどうしてもそのまま受け入れられない天邪鬼な人は→「穏やかな世界 P159」
○飲み会が苦手な人は→「たりない、、、 P167」
○結婚することに自信がない男子→「男の恋愛に必要なものは P173」
○言いたいことがうまく言えない人は→「落語家 P179」
○説教する人、される人の気持ちが分からない人は→「おじさんの悩み P185」
○どうしてもアイデアが思い浮かばないひと→「宿題の進め方 P191」
そして、最後に春日の話。
オードリーって良いコンビだなって思います。爆笑問題の太田と田中のように。
若林は太田に似ている。春日は、田中に似てます。
田中は深く考えません。笑 春日も。
そして、今が幸せと考えてます。売れていないときも。。
「28になってもお互い風呂なしのアパートに済んで、同級生は結婚してマンションに住んでいるのに恥ずかしくないのか?」
という若林の問いに、春日は3日くらい考えて、
「どうしても幸せなんですけど、やっぱり不幸じゃないと努力ってできないんですかね?」
と言ってきた話。
売れても、春日はずっと楽しそうで、若林はずっとつまらなそうだった。
そんな若林の春日に対する想い。
春日は、正直本当に面白いことを言える人間じゃないと思う。でも、すごく面白い人間だとおもう。
〜自分に自信があって。特別、自己顕示するために自分を大きく見せる必要のないマトモな男だと思う。
ぼくは、とことんマトモになって幸福だと思ってみた。できるなら上昇しつつ。
ぼくは春日に憧れている。
◆終わりに。
大人になってから、少なからず中二病ってありますよね。。
中二病とは、、wikipediaによると、、、
中二病 – Wikipedia
中二病 …
中二病(ちゅうにびょう)は、中学2年生頃の思春期にありがちな自意識過剰やコンプレックスから発する、一部の言動傾向を揶揄した俗語である。基本的には精神的に不安定になる思春期に成長する自意識と残った幼児性の間で背伸びをするような言動。またそのためにおかしな行動をとってしまうことを言う。名前に中二と付くが、大人にも使われる。
一種の精神的な病気なのかな。いまいち大人になりきれてなくて、起きる悩みとか不安、世間に対する反感とか。社会人になるとそんなことも生まれます。
塾で一体ななぜ自分が中学受験をするのか?を問うと、先生は、人生に有利に過ごせるからという。良い中学に入ることが、良い高校、良い大学に入ることにつながり、そして、良い会社に入ることで幸福な人生が送れるというのだ。その話は本当なのか。いささか疑問に感じた。そんな気持ちを抱えながら毎朝満員電車に載っている大人たちを観察していた。塾の先生や親のいうようにこの道を進めば、いずれはこの電車に自分も乗ることになるんだ。
大人たちは、当時のぼくには楽しそうには見えなかった。それが、ぼくが一番最初に「社会」というものを意識した瞬間かもしれない。
子ども頃誰しも思うことだと思います。
それが、
社会はただそこにあるだけ。自分の心は変えなくても、ルールに従うことで自分なりに幸福になるために頑張れるって考えに変わります。
すごくがんばれば、すごく楽しい想いができて。
ちょっとがんばれば、ちょっといい思いができて。
あんまりがんばらなければ、あんまりいい思いができない。小学生のときに、ぼくがみた「社会」は単純に満員電車の車内だけであったのだ。その他の場所ではきっとみんな人生を楽しんでいたに違いない。
小学6年の頃、勉強をする理由を、困難やアイデアを出すときに考える力とパターンを養うため、幸せになるために考える力をつけるためと説明を受けていたら〜
勉強する理由って、大人がちゃんと教えればいいと思います。
昔読んだ「ノルウェイの森」でも、
学校の勉強は、日常生活の中で何かの役に立つというより、物事をより統計的に捉えるための訓練になるんだ。
と言っています。
詳しくはこちら。
#042 サラリーマン合気道/箭内道彦 | Tunagu.
「学校の勉強は、日常生活の中で何かの役に立つというより、物事をより統計的に捉えるための訓練になるんだ。」 …
そして、夢を見ることもその結果を出すことも社会参加に必要ではないものだって分かります。
天才は「結果が全てだ」といえばいい。自分には関係ないものだ。
特にすごい訳じゃなく、特にダメじゃない。そんな自己ベストを更新し続けていれば「結果」があとからやってこようがこなかろうがいいじゃないか。特別な才能がないから自己ベストを更新し続けるしかないと言う諦めはぼくにとって自信になった。〜社会なんて自己ベストを更新していくだけでいいという自信さえあれば自由に参加していい場所だったんだ。
最終的にこの本を読めば、春日が胸をはっている理由が分かります。笑
コラムが具体的な話から、抽象的な話にもってくるので読みやすいです。
ラストにちょっとカッコいい感じなセリフを持ってくるのも文章力あります。多分そう思われたくないと本人は書くのをためらったでしょうが。。。
自分にとって何回も読みたいと思える、とってもいい本でした。
読んで頂いて、ありがとうございます。
◆目次◆
社会人一年生
社会人二年生
社会人三年生
社会人四年生
真社会人
社会人大学卒業論文。例えば書き。