#089 督促OL 修行日記/榎本 まみ

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満足度★★★★(4)

劣悪な環境にこそ、どこでも生きることができる強い力がつけられる術があるってことだなぁ。。

●内容について。

大学を卒業して入った会社で、最初に配属された部署が、支払延滞顧客へ督促を行うコールセンターだったという女性の奮闘記!
カードキャッシングをして借金を返さない人に催促の電話をかける「督促OL」
もちろん、督促の仕事の裏が分かる本でもあります。督促の仕事の裏使命は、「お客様の信用を守るため」ということは納得しました。
カード情報って、なくならないですしね、どれだけ預金をしたかとか、返済をしたとかだとか、信用機関が情報共有してその後のローンの査定に使われているということはよくある話です。
自分の信用を守るためにも、今返済少しでもして下さいという立場は表向きは良い使命感だと思います。。。。

ただ!現実はそんな甘くありません!

お客からストーカーと言われたり、呪いをかけると恨まれたり、今から殺しにいくぞと脅されたり、人から嫌われる仕事。
朝から晩まで顧客から怒鳴られ続け、同期入社も次々と辞める大変な環境。

そんな環境の中でも、ひとに動いてもらう”交渉術”や会社勤めのストレス対策法(人間関係対策法)等生きるためのノウハウが書かれてる本です。また内容はハードですが、文体はちょっぴり笑えるような(自虐的な)文章で書かれている本です。

●感想と自分の実体験。

私も、コールセンターで少しバイトで働いたこともありますし、前職でアポイント電話をかけまくったり、今の職場でも電話に出ることが多いので、”お客から嫌がられる”仕事って少なからず共感できました。

感情労働と言うらしいです。肉体労働は体を使う。頭脳労働は、頭を使う。感情労働は心を売る。
最近では、AKBなどのアイドル市場も感情労働だなぁて思います。。。
心の疲労は寝ても治りにくいですし、最近サービス市場でいわゆる感情労働って増えてますし、そういった意味で良い本だなぁって思いました。

自分の仲の良い同僚が退職していくことで、
「私の実験結果で、A子ちゃんみたいに、督促のようなストレスフルな仕事で人生を狂わされてしまう人を1人でもなくすことができたら、、」と考える著者。自分の苦労を他の人に少しでも軽減できるためにということで辞めずに奮闘する著者に共感しました。

「約束日時は相手に言わせる」人間が無意識に動かされてしまう感情は、恐怖心と義務感、そして罪悪感。約束を破った後は悪いなという負い目を感じる。そこを利用する。人と約束をする場合、日時と場所を相手の口から言ってもらうことで責任を重くすることができる。

これは何かをお願いすることが多い仕事に使えると思います。得意先、多部署の人、上司、業者等、確実に何かしてもらいたいときに使おうと思いました。

「お金を返してと言わずにお金を回収するテクニック」人間の脳は疑問を投げかけられると無意識にその回答を考え始める。つまりお金を返して下さいと言うのではなく、入金できる日はいつ?と質問することによって、脳に回答を考えてもらう。

これはあるあるです。アポイント電話も、「是非一度お会いしたいのですが、よろしいでしょうか。」なんて言っても断られます。
だから、「明日の午後1時は空いてますか?」って具体的にかつスケジュールの空きの確認をするというちょっと先をいく質問をすることで、明日のその時間は空いてるなぁって考えてもらって、OKもらえることも多かったです。
一番良いのは、「(丁度他の約束で)今近くを通ってまして、宜しければ10分後くらいに少しご説明にあがりたいのですが、」ということで会える確率が高かった気がしました。(そのとき、電話出れるということは、ある意味少しくらい時間があるときですし、1週間後の予定は変わりやすいですけど、今そのときのスケジュールは把握できるからです。)

「一言謝ってから話す」お仕事中申し訳ございません。度々お電話して申し訳ございません。など先に言うことで相手の警戒心をとくことができる。相手に嫌な顔されずに頼みにくいことを聞いてもらえる技術。

これは、新卒時、先輩から「相手が言うだろうことを先に言う!」というスキルを教えられました。アポイント電話を何回かかけてると相手がどう思って、どう言うか分かります。「うち、今他の所に頼んでるから」「今は考えてないから」とか、そういう言葉を相手に先に言われたら、仕方ないですねとしか言いようがないです。

だから、それを言われる前に、「おつきあいされている業者さんもいらしゃると思いますし、今すぐという話ではないのですが、」「今後見直しの時期のご参考に」等、あえてネガティブなことをお客さんに言われるまえに、自分で言うことで、相手が何も言えない状況を作ることが大事だなぁって、使ってみて、非常に良いやり方だって思った経験があります。
今の職場でも、何かお願いするときとか「非常にお忙しい中申し訳ないです」とか「いつもお願いばっかで申し訳ないです」とか向こうが思うだろうことを先に言うことで、反発を避けようと使ってます。

でも「お忙しいときに失礼します」という枕詞の営業電話は良くないと思います。いくらなんでも下手に出過ぎですし、自分が良い情報を持ってるなら、もっと対等に話すべきですし、何より、その一言が逆に時間がもったいないないという。。(そんなに卑屈になりすぎても、言ってる方も疲れちゃいますからね。)

「お客様タイプ別攻略法」①一方的に怒鳴る ②理詰めで攻撃クレーマー ③ともかく泣く ④ひらきなおる お客様のタイプを判別して、それにあった話し方をしたり、得意な人にお願いする

これもありますね。。誰がその電話に出てるかを把握することは一番大事です。アポイント電話であることは、規模の大きい会社だと、初めに出るのは受付の人。その人の目的は、しかるべき人に正確にどういった要件なのかを取り次ぐことを仕事としてます。
だから、その人に対して、いくら営業トークをしても仕方ないです。向こうからしたら、変な営業電話取り次いで、上司に怒られるのなんていやですし。。営業電話じゃないですよ的な電話って、どういった要件なのか分からないから不安です。だからそういう人には、「営業の電話ですけど」とか直に言ったりした方が良いかなって思います。

かける立場だけでなくて、今は受ける立場から分かったことは、いかにまどろっこしくなくて、簡潔で分かりやすい営業電話なら取り次ぎやすいなって思います。専門用語とか使われたりとか意味分かりませんですし。

「〜担当の方いらっしゃいますか?」という個人名を使わない電話は大体営業電話なので、そのときは「どういったご用件ですか」って聞きます。そのとき答える言葉で、取り次ぐ取り次がないは、自分で考えます。担当が忙しいときは、取り次ぎませんですし、しどろもどろな返事だったら、いても、外出するって嘘つきます。もちろん、営業電話って悪ではなくて、良い話もあるんで、取り次ぐときは取り次ぎますし、聞くときは聞きます。タイミングって大事です。

「厳しいことをいうときのツンデレクロージング」最後の言葉さえ印象が良ければその会話全体の印象が良くなることもある。

・ゆっくりしゃべること。自信がありげに聞こえるから。また督促者がゆっくりしゃべると債務者も口調が遅くなる。ゆっくりした口調で怒ることは難しいので、債務者も心が落ち着きやすい。
などなど。

・「申し訳ありません」を繰り返すと「謝ればいいと思っているだろ」と債務者に逆上されかねない。謝るときは、「●●してすみません」と具体的に語ること。
・謝罪を2回続けたら、次には1回お礼の言葉をまぜるのが良い。謝罪が3回続くと誠意が薄まって聞こえるから。

●おわりに。

できないことにぶつかるとその都度苦労することになる。でも自分で苦しんで苦しんで、解決法を模索すると、思ってもみない成長をすることもある。

仕事をする中で誰かから傷つけられることはたくさんあったけど、そのおかげでできるようになったこともたくさんある。今まで私が先輩やお客様からもらってきたのは、これからより強くいきていくための武器と盾だった。

新卒で入る職場って大事かなって思います。
私は、他の友人よりも少し厳しい環境で働いていました。でも、今では入って良かったなぁって思います。
厳しい環境にいるとき、人って、それをどうにかしたくて、頑張って成長すると思います。そこにいる人たちみんなそういう想いだから、そばにいて、とても刺激になります。良いたとえではないですけど、そばに虎がいたら、死なないように必死に生きますよね。。生きるための術が知らぬ間につくと思います。

新卒で、いわゆる優良な仕事に就くことはそれで幸せなことですけど、実際自分の環境が良い悪いなんて、他を経験しない限りは分からないもの。
他の人からは自分の会社は良いなぁって言われても、自分にしたら嫌な環境だと思っちゃうかもしれません。
初め大変な想いをすれば、その後はそれよりも少し良い環境にいけば、どれだけ自分が幸せなんだって分かります。

苦労したひとしか、幸せって実感できないと思います。
自分よりいい環境を自慢される話を聞くよりも、自分よりも大変な環境にいるのに頑張っている自虐的な話の方が聞いてて楽しいです。

仕事や会社って、驚くほど、大変なところってまだまだあって、世間知らずだなぁってつくづく思いますけど、それでも、その経験が後々良かったなぁって思えるように今頑張りたいなぁって思いました。

読んで頂いて、ありがとうございます。