百万円と苦虫女 満足度★★★★☆(4.5)
Hyakumanen to Nigamushionna/ジャンル: ヒューマン(121分)/監督:タナダユキ/2008年/日本
切ないけど、とっても爽やかな希望がある映画。(なんか成人式の日にピッタリの映画を見てしまった)
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ストーリー説明

就職浪人中の鈴子(蒼井優)は、アルバイトをしながら実家で暮らしていた。彼女は仲間とルームシェアを始めるが、それが思いも寄らぬ事件に発展し、警察の世話になる。中学受験を控えた弟(齋藤隆成)にも責められ家に居づらくなった彼女は家を出て、1か所で100万円貯まったら次の場所に引っ越すという根無し草のような生活を始める。
引用:シネマトゥデイより
○感想

蒼井優が演じる主人公の鈴子がひょんなことから前科持ちになってしまい、実家を離れて各地を転々としながら生活していく姿を描いた青春ロードムービーです。
個人的な満足度とオススメ度は、大体同じなのですが、この映画はラスト30分を見て★4から★4.5に変わりました。(★5じゃないのは、ちょっと気になる粗、矛盾、いらないシーンがあったため)
団体行動が苦手、ひとりでいるのが好き、だけど人とのつながりがなくなることを恐れてて、だから何となく愛想笑いもしたり、人に合わせたりする、そんな”苦虫”笑いをして生きる不器用な21歳の女の子が転々と旅していく話。
やっぱり20代の男女には共感される映画かなぁって思います。
それは、”自立”ということが一つのテーマになっているから。
一人暮らしをして、自分で生きるお金を稼ぐこと。
それももちろん自立に入るわけだけど、100万円が貯まったら他の場所に住み、生きるために働く。その場所その場所で想ってくれる(好意を寄せてくれる人)がいたり、能力素質を買って必要としてくれる人がいる。でもそれを受け入れなくて転々とする。空虚な気持ちは埋まりません。
たとえ、本当に大事な好きな人ができても。。。
その好きな人に聞かれるシーンがあります。
「それは、自分探しみたいなことですか」と。
その答えが、
「いや、むしろ探したくない。どうやったって自分の行動で自分は生きていかなくてはいけない。探さなくても自分はここにいるから。」
何事もトラブルなくすごそうとしているんだけど、そこにトラブルが生まれる。だから、また人と別れる。そんな人生を送ってます。
それと対照的なのが、同級生からいじめを受けて苦しんでいる弟の拓也。あえて、苦しい道を選んだこと。お姉ちゃんに送った手紙。号泣しました。。
それに対して鈴子が想うこと。
家族でも、恋人でも、長く一緒にいられるコツって、一番大事なことは「言わないでいること」なんじゃないかと思っていました。
大人しく適当に愛想笑いをしていたら、トラブルなく過ごせると思っていました。
いつの間にか何も言えない関係になってしまうのは不幸なことです。人は出会ったら必ず別れるものだと思います。その別れが怖いから、姉ちゃんは無理をしていました。
でも出会うために別れるのだと今気づきました。
好きな人とお別れしたって、ちっとも泣くようなことじゃないって思いました。
もう一つのテーマは”コミュニケーション”かなぁって思います。
相手を本当に見ること。ちゃんと見えていないと悲劇が起こる。
彼氏と3人でルームシェアしようとしたバイト仲間の女の子。
海でナンパしてきたサーファー。
桃娘にまつり上げようとする村人。
両親。鈴子を馬鹿にする同級生。噂話好きの近所の人たち。そして中島君。
苦虫も少しは必要。それでも、伝えたい想いはちゃんと伝えるべき。ずっと一緒にいるためにはやっぱり言わなきゃ。日本人は言わないでも伝える文化があるけど、それでも伝わらないことはある。
役者さん、どの人も素晴らしいけど、やっぱり蒼井優と森山未來は素晴らしい。蒼井優は全て自然体。森山未來は良い人も悪い人も演じられる感じがする。。

ラストのシーンがあるから、ただ未来が見えない日常を描いた映画でもないし、単なる恋愛映画でもない。
とっても、希望のある良い映画でした。この映画のラストが好きな人はバタフライエフェクトもおすすめ。成人式を終えた後でも、自分がなんなのか考えることがある人にもおすすめです。
読んで頂いて、ありがとうございます。
●参照
○予告
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