
私は、様々な本を読んでいますが、太田さんの小説のような、SF的であり、童話のような抽象的な物語はあまり読んできませんでした。
短編で話がすぐ変わり、また少し抽象的な部分があるので、読むスピードをあげるのに時間がかかりましたが、
『大いなる計画』の所から、話の大筋が読めて行き、のめり込んでいき、ラストまで一気に読んでしまいました。
ストーリーを説明するのが難しいのですが、
一応2人の少年の冒険ストーリーになるんですかね。。
でも、それを期待して読むとまた違うかもしれません。
少子化を問題にした日本が、科学を駆使して解決する、文明を作り上げて行く。
基本的に、”負”の現実になるのですが、
その後の未来や、過去の偉人(ジョンレノン)などが成し遂げ、影響した”希望”の部分にフォーカスを与えて書いていると思います。
テーマは一貫として、「想像力」や「意思」「好奇心」だと思うのですが、
それを鮮やかに描かれている小説だと思います。
暇つぶしのエンターテイメントとしての小説を期待すると、
「この小説何書いてんだ?」「何が言いたいんだ?」
ってなると思いますが、
じっくり、何度も読んで理解したり、考えて読む本としては秀作だと思います。
だから、万人向けではないと思います。
ただ好きな人はかなり好きになると思います。
特に話で好きなのが
『博士とロボット』
感動して涙しました。
文明のせいで大切なものを失うけど、自分が作った文明で救われる所はなんともあったかい気持ちになりました。
田中さんは、「プレゼント」と「贈り物」を選んでいました。
これもよくできた話だなぁと思いました。
「出来損ないのヒーロー」も好きな人はいるだろうなぁと思います。
中国の日本のパクリの問題。
太田さんは、それもそれで良いという立場。
これを読んだら何となく理解できるかもしれません。
また、私はあまり頭が良くないので、一回読んでも正直ピンとくるものがありませんでした。
しかし、二回目を読んでみて分かる所がありました。
一つひとつの物語とセリフには全て意味があり、そのつながりに気づいたとき、とても感動しました。
チャップリンの「人生に必要なものは、勇気と想像力とほんの少しのお金だ。 」という名言。
チャップリン好きな太田さん、
『文明の子』でも、「想像力」の大切さ、強い想い「意思」の大切さを描かれています。
「たとえ、翼がなくたって、義を背負い、想像力と強い意志を持って前に進んで行こう、
それが後々誰かの役に立つであろう、”文明”となるんだ」
と何だかとても勇気づけられた気がしました。
ただ原発批判すること、過去文明を築くために頑張ってきた人たちを批判することを太田さんは嫌います。
批判だけじゃ何も生まないことを知ってて、
そこから一歩引いて、ポジティブ、光の部分を照らして勇気づけたり、皮肉を言って”負”を笑いに変える表現者なんだなぁと思いました。
半分くらいまでは時間がかかるかもしれせん。
一回読んだだけでは、分からないかもしれません。
想像力が必要かもしれません。
ただ、何回も読み進めるにつれて、太田さんの優しさがつまってる世界観を理解できると思います。
読んで頂きありがとうございます。
