#061 モダンタイムス/伊坂幸太郎

モダンタイムス (Morning NOVELS)/伊坂 幸太郎

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「魔王」の続編。
あれから50年ほど経った21世紀半ば過ぎの物語。
簡単に言えば、社会派エンターテイメント小説
「ゴールデンスランバー」のように考えさせられます。。
「オーデュボンの祈り」や「重力ピエロ」のように「人って良いな」って感じるような話ではなく、
国とは何か、システムとは何か、はたまた人は何のために生きるのかといったような内容を考えさせる内容。
あらすじを言っても、そこまで興味はわかないかもしれません。
とにかく、読んでみないと…分かりませんし、
前作の「魔王」以上に、読んでいる人自身が深く考えることを望んでいる小説だと思います。
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▼伊坂幸太郎の本の面白さ。
①エンターテイメント性(読みやすい、先が気になる。ラストが清々しい。)
②社会派小説(勉強になる。)
③人間ドラマでとにかく感動(人生について考えられる。。)
④機知に富んだセリフと上手い比喩。
⑤登場人物の面白さ。
⑥張り巡される伏線。(作品間リンクも)

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(以下、②、④、⑤を詳しく見ると…)
傍線②社会派小説
モダンタイムス。
資本主義社会の在り方を痛切に皮肉った、チャップリンの代表作『モダンタイムス』。
産業革命により、工場が機械化され、人間が翻弄される。
この小説も、
効率化を図った技術化、システム化により、分業化が進んで、
一人の人間は、今目の前にあるその作業をこなすだけになり、
作業工程全体を見渡すことのできないことで生まれる、”想像力・知覚の欠如”や”良心が消える”人間の愚かさを皮肉っている話。
傍線⑤登場人物の面白さ
伊坂幸太郎の本の面白さのひとつに”登場人物”がありますが、
今回は、
 「勇気はあるか?」といきなり現れて脅す、岡本猛。
 「勇気は実家に忘れてきました」と言う、主人公の渡辺拓海。
 「見て見ぬ振りも勇気だ」と警告する、五反田正臣。
 「ちょっと異常な気がします」と訝る、大石倉之助。
 「人生は要約できねえんだよ」と嘯く、井坂好太郎。
 「善悪なんて見る角度しだい」と怒る、主人公の妻の渡辺佳代子。
 「本当の英雄になってみたかった」と語る、永嶋丈。

誰もが、個性的。
傍線④機知に富んだセリフと上手い比喩
そして、
伊坂幸太郎の伏線の面白さは、今回はそこまでありませんが、
ウィットに富んだセリフは、多分1位2位を争う位だと思います。
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「人は分からないことがあったらまず検索する」
「検索から、監視が始まる」
「実家に忘れてきました。何を?勇気を」
「偽善とは何だ?本当はいい人間なのに、悪いふりをしている奴の方がはた迷惑ではないか。」
「規則は絶対ではない。大事なルールほど法律では決まってない。
困った人に手を貸しなさいとか。」
「いいか、小説ってのは、大勢の人間の背中をわーっと押して、動かすようなものじゃねえんだよ。
音楽みてえに、集まったみんなを熱狂させてな、
さてそら、みんなで何かをやろうぜ、なんてことはできねぇんだ。
役割が違う。小説はな、一人一人の人間の心身体に沁みていくだけだ」
「小説で世界を変えられぇ。届くかもしれねぇ。どこかの誰か、一人。」
「ねえ、世の中で一番つらいことって何だか、分かる?お別れだよ。
二度と会えないことほどやり切れないものはないよ。取り返しのつかないことだから。」
「占いってのは、それを読んだ人の解釈しだい。
とにかく受け取った人間が当たるように考える。それが大事なんだ。」
「仕事だから仕方がなくてやりました、なんてね言い訳にすぎないの。
仕事であっても、自分のやることにはそれなりの覚悟が必要で、
悪いことをするなら、悶え苦しんでやらないと。」
「人が行動する最もシンプルな動機は何だか分かるか?「仕事」だからだ」
「人間は大きな目的のために生きているんじゃない。
もっと小さな目的のために生きている」
「目の前で困っているやつを救え、細かいことは考えるな」
「大きな目的の前では無力でも、眼前の小さな目的のためには行動できる」
「勇気は彼女が持っている。俺がなくしたりしないように」
「人にとって大事なのは、企業名や肩書きじゃない。
その人の生きている時間だよ。本が読めて、何かを考えることができるなら、それで十分だ」
そして、一番好きなのが、、、、
人生は要約できねえんだよ
「人ってのは、毎日毎日、必死に生きてるわけだ。
つまらない仕事をしたり、誰かと言い合いしたり。
そういう取るに足らない出来事の積み重ねで、生活が、人生が、出来上がってる。
ただな、もしそいつの一生を要約するとしたら、そういった日々の変わらない日常は省かれる。
結婚だとか離婚だとか、出産だとか転職だとか、そういったトピックは残るにしても、日々の生活は削られる。地味で、くだらないからだ。
でもって、「だれそれ氏はこれこれこういう人生を送った」なんて要約される。
でもな、本当にそいつにとって大事なのは、要約して消えた日々の出来事だよ。
それこそが人生ってわけだ。」
最後に、
「播磨崎中学校」と「安藤商会」で検索してみると…。
こんな遊び心もある小説でした。
読んで頂いて、ありがとうございます。
モダンタイムス (Morning NOVELS)/伊坂 幸太郎

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