先日、
「サイバーエージェント・藤田社長、モナのおかげで1500万円ゲット!」
という記事を見ました。
その中で、一時所得の税金の額について書いてあったので興味を持ちました。
一応、税金を専門に大学で勉強していたので。。
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●一時所得
…営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得のこと。
賞金、競馬や競輪の配当金、埋蔵物発見者への報労金などが該当。
総収入金額から、その収入を得るために支出した金額を引き、
さらに特別控除額(最高50万円)を引いた金額を一時所得とし、
その2分の1が課税対象となり、他の所得と合計して申告する。
今回の藤田氏の場合、1474万5000円から購入金額(的中分のみ)5万円を引き、
特別控除額を最高額の50万円とすると、1419万5000円。
その2分の1の709万7500円が課税対象。
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この記事に対してコメントがちらほらあり↓
「税金取り過ぎでしょ!!」
「1500万取っても国に税金とられるだけだ」
などありました。
でも、ん?って思いました。
所得税って煩雑で、どれだけ自分が支払っているか分かりにくいことが問題とされていますが、
それだけ誤解が多いんじゃないかなって思いました。
ここでは、1500万円万馬券が当たっても、
どうせ、国に税金として半分近くの700万円は取られるんでしょ
と単純に思われるかもしれませんけど、
もう少しちゃんと考えてみたいと思います。
所得税は、とっても分かりにくいですが、個人の担税力によって課税されるように、よくできてます。
所得は、一時所得だけでなく、
給与所得や利子所得など、10種類に分けられています。
1段階として、これで各種所得金額を計算します。
その後、2段階目として、
損益通算や損失の繰越控除などを計算して、課税標準を計算し、総所得金額を出します。
(・損益通算…特定の所得の赤字があった場合、他の所得の黒字から差し引くこと。
・損失の繰越控除…前年以前に生じた損失の金額で、損失の生じた年の所得から控除しきれなかった金額を確定申告によって翌年以降の所得から控除するために繰越したもの。)
3段階目として、
納税する人個人の担税力に応じた課税をするために、
所得金額から様々な所得控除をします。
誰でも引ける基礎控除(38万円)、配偶者控除、扶養控除、勤労学生控除、社会保険料控除など14種類あります。
それを引くと、課税総所得金額が出ます。
4段階目で、
この課税総所得金額に、やっと税率をかけます。
税率をかけて出した金額が所得税額になります。
税率は、超過累進税率でかけられ、
最低税率は、5%、最高税率は40%で累進度は6段階。
所得の多い人からはたくさん税金をもらおうという応能負担の原則がベースとなっています。
195万円以下の金額 | 5% |
195万円を超え330万円以下の金額 | 10% |
330万円を超え695万円以下の金額 | 20% |
695万円を超え900万円以下の金額 | 23% |
900万円を超え1800万円以下の金額 | 33% |
1800万円を超える金額 | 40% |
ただ、超過累進税率なので、
単純に、課税総所得金額が1000万円だから33%の税率がかかり、
330万円税金を負担するというわけではなく、
最初の195万円部分は5%の9万7500円となり、
次の330万円までの135万円(330-195)部分は10%なので13万5000円となり、
695万円までの365万円(695-330)部分は20%なので73万円となり、
900万円までの205万円(900-695)部分は23%なので47万1500円となり、
900万円を超え1000万円までの100万円部分は33%なので33万円なのでそれを適用して、
税額は、これらの合計である176万4000円と計算する。
単純に330万円と計算するのと、176万4000円なので、半分近く違うので結構違います。
このように税率をかけて所得税額出た後、
その上、もし該当すれば、税額控除を行ったうえで、その額を納税するという形になります。
(税額控除…配当控除、住宅借入金等特別控除、外国税額控除など)
よって、単純に、1500万円収入があったからといって、
そのまま1/2の700万円が取られるなんてことはないということわかります。
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今回の藤田社長の場合、
競馬の配当金1474万5000円は、一時所得に含まれます。
一時所得は、
収入金額-収入を得るために支出した金額-特別控除額(最高50万円)
=一時所得の金額
で計算される。
一時所得は、
総合課税だから、その1/2に相当する金額(課税対象となる金額)を給与所得などの他の所得と合計して総所得金額を求め、
確定申告によって納める税金を計算する。
よって
具体的な数値で見てみると…、
1474万5000円-5万円-50万円
=1419万5000円…一時所得の金額
1419万5000円×1/2=709万7500円…課税対象となる金額
ここから、
一時所得に関しては総合課税になるから、
一概に○○円だったら、所得税は○×円。というような計算は出来ません。
ここでは藤田社長が、他にどれだけの所得があるか分からないと、税金の計算はできません。
まぁ、単純に他の所得のないと計算すると、
今回は、
99万6425円の税金を納税することになる。
(速算表で計算)
はじめ、700万円近く税金を”取られる”と考えているのと比較すると、
7分の1も違います。
1500万円の万馬券があたっても、100万円くらいの税金しか取られないという見方もできるんじゃないかなって思いました。
(競馬の券には地方に渡る税金がある程度かかって値段に上乗せされているということで二重課税の批判もありますが、、)
その上、
競馬は不労所得。
頑張って汗水たらして、稼いだお金ではありません。
だったら、不労所得、たとえば相続税、贈与税などは、
もうちょっと税額を高くしてもいいんじゃないかなって個人的に思います。
競馬で1000万円近く当たる。
それだけでも、ものすごく嬉しいし、その思い出だけ味わえば、お金はなくてもそれだけの価値はあるんじゃないかなと。。
その嬉しさを、他に困っている人に向けようとすれば、もっと良い社会になるんじゃないかなと。。
税金を取られる!と思うのではなくて、
困っている人を助けるために納税しようと考えること。
国にお金を出せだせといってもらうのではなくて、
払っている人に感謝しながら、もらうと意識すること。
それも大切なことじゃないかなと思いました。
税金の計算方法など間違えていたらすみません。
間違ってたら、教えてください。。。。
読んでいただいて、ありがとうございます。
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